本研究は、細胞接着面が切り替わる際にミオシンケーブルが剥がれた構造、ミオシンギャップが形成されることを発見した過去の研究成果 (Ikawa and Sugimura. 2018) に立脚し、細胞間接着面が切り替わる際の局所的な分子動態を制御するメカニズムの解明を目的とする。 2020年度までに、ミオシンギャップの近傍で特徴的な局在を示す分子の探索を行ったところ、Afadinなどの複数のアドへレンスジャンクション構成因子が興味深い局在を示すことを見出した。次に、これらの分子の機能欠損表現型を調べたところ、細胞配置換えに異常を引き起こすことがわかった。さらに、ミオシンギャップにおけるアドヘレンスジャンクション構成因子の局在が、複数細胞から構成される細胞接着構造であるトリセルラージャンクションの構成因子M6によって制御されることも明らかとなった。以上の結果から、M6とアドヘレンスジャンクションの相互作用が細胞接着面の切り替わりを駆動することが示唆された。加えて、細胞配置換えの数理モデルの構築にも着手し、細胞接着面切り替え時にミオシンリングが不安定化される機構を数理的に解析した。 2021年度は、以上の研究成果を学術論文としてまとめて投稿した。現在、論文の査読中である。
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