現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題では、気管をモデルとして、間充織組織の極性化のメカニズムの解明に取り組んだ。先行研究において、間充織組織におけるWnt signalingの活性化が極性化に関与していることを発見している。また間充織は上皮組織に向かって極性化することから、上皮組織由来のWnt ligandが間充織の極性化を誘導していることが推察された。そこでまず、気管上皮組織におけるWnt ligandの発現について網羅的に解析を行った。マウス胎仔におけるscRNAseqの解析においてWnt4, 5a, 5b, 6, 7bが発現していることが分かった。さらに、in situ hybridizationにより、これらの発現パターンについて検討を行った。Wnt4は食道の間充織および気管上皮に弱い発現を示した。Wnt5a, 5b, 6は気管・食道の間充織に低レベルの発現を示した。一方、Wnt7bは気管上皮に強く発現していた。現在、これらのWntの極性化における重要性を調べるため、Wntの分泌が阻害されるShh-Cre, Wntless floxを交配している。 さらに、in vitroにおいて間充織細胞極性化を再現することを目的とし、呼吸器上皮細胞ならびに間充織細胞の分化誘導を試みた。先行研究においてマウスES細胞からの呼吸器上皮細胞の分化誘導には成功している。本年度はヒトES細胞からの分化誘導を行った。種々の分化誘導剤の組み合わせを検討することにより、ヒトES細胞においても同様に、高効率に呼吸器上皮細胞を誘導する系を確立した。さらに、マウスおよびヒトES細胞からの呼吸器間充織の分化誘導に成功した。
|