ES細胞などの未分化細胞において、その未分化性維持に重要だとされる転写因子群が知られている。特に転写因子Nanogは他の転写因子を伴い、未分化性維持に中心的に機能すると考えられている。これら転写因子の機能や、ゲノム上の結合領域などが明らかになる中、転写因子の詳細な核内動態は未知であった。これまで30余年にわたり使用されている1分子顕微鏡法のさらなる発展により、核内で動きまわる分子ひとつひとつの観察が可能になった。そこで、生きて動き回るNanogの実際の振る舞いの観察・計測を行った。本研究は、未分化・脱未分化状態での分子動態の差を計測し、分子動態と未分化維持機構の関係性の一端を明らかにしている。
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