研究課題/領域番号 |
19K16165
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
野元 美佳 名古屋大学, 遺伝子実験施設, 助教 (70825736)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 植物ホルモン / 転写因子 / 植物免疫 |
研究実績の概要 |
植物免疫に関与する転写補助因子NPR1は、ジャスモン酸シグナルの転写因子を直接標的とすることでジャスモン酸応答性遺伝子の発現を抑制することをこれまでに明らかにした。そこで、サリチル酸シグナルが制御する環境応答機構を明らかにすることを目的として、NPR1が標的とする新規転写因子を同定し、それらの特徴付けに取り組んだ。 申請者が確立したコムギ胚芽由来の無細胞タンパク質合成系を用いて、NPR1と転写因子の相互作用スクリーニングを行った結果、標的転写因子候補をいくつか同定した。2 次スクリーニングとしてベンサミアナ葉を用いたBiFC (bimolecular fluorescence complementation)解析に供試したところ、in vivoでもNPR1と相互作用する転写因子を同定した。候補転写因子のT-DNA挿入によるノックアウト系統を取り寄せ、npr1変異体と共に、SAが当該環境応答に影響を与えるかどうか、環境応答性遺伝子の発現を指標として調査している。さらに、NPR1依存的に制御される標的転写因子のDNA結合領域をゲノムワイドに決定するために、in vitro-pull-down assayと野生株とnpr1変異体背景の当該転写因子過剰発現体の作出を進めている。また、35S:NPR1-GFP植物を用いてChIP-qPCRおよびChIP-seq解析技術を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、SAシグナルの転写補助因子NPR1が標的とする新規転写因子を多数同定し、in vivoでの相互作用も確認した。既に、過剰発現体の作出や多重欠損変異体の作出にも着手している。
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今後の研究の推進方策 |
作出した野生株とnpr1変異体背景の当該転写因子過剰発現体に対して、ChIP-qPCRおよびChIP-seq解析を行う。また、変異体や多重欠損変異体にアブラナ科類黒斑細菌病菌や絶対寄生菌であるシロイヌナズナべと病菌を接種し、病班の観察、SA応答性遺伝子の発現解析、および菌の増殖率を測定することで、SAシグナルがどの様に影響を受けるかを評価する。
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