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2019 年度 実施状況報告書

雌性配偶体の細胞運命決定機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K16172
研究機関横浜市立大学

研究代表者

須崎 大地  横浜市立大学, 木原生物学研究所, 特別研究員 (20757869)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード雌性配偶体 / 細胞運命 / 顕微細胞操作 / RNA-seq / シロイヌナズナ
研究実績の概要

雌性配偶体は被子植物の繁栄を支える重複受精に不可欠な組織である.形成過程は独特で,1つの細胞が3回の核分裂を経て多核体となった後に細胞化し,それぞれ固有の機能を獲得する.各細胞の運命決定には多核体での核の位置や植物ホルモンの分布の違いが重要であると示唆されているが,その時期や分子実体は明らかでない.これまでの申請者の研究から4核期後半には細胞の運命が決まることが示唆された.本研究では,シロイヌナズナの2核期,4核期の多核体に着目した顕微細胞操作とライブイメージング,逆遺伝学的解析をおこない,運命決定を担う遺伝子の選抜と生理機能解析を進める.これにより雌性配偶体の細胞運命決定を担う分子基盤を明らかにすることを目的とした.
今年度は,2核期から4核期のRNA-seqとライブイメージングのための準備を進めた.雌性配偶体の核を標識するマーカーラインを作出して,酵素処理による単離条件の検討をおこなった.4核期の胚珠から2核だけを含むプロトプラストの遊離が見られたため,4核期の珠孔側と合点側の2核ずつを別の色で標識する系統の作出を進めた.RNA-seqデータ取得後のデータ解析手法の準備として,これまでに取得した成熟期の雌性配偶体の卵細胞、中央細胞、助細胞と助細胞機能が欠損した変異体の助細胞の遺伝子発現を比較したところ,変異体の助細胞の遺伝子発現が部分的に卵細胞様に変化することを見出した.この成果をまとめた論文を近日投稿予定である.また,卵細胞のデータを交えた国際共同研究を進めて論文を発表することが出来た.今回確立した解析パイプラインは本研究で取得するデータ解析にも応用可能である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では雌性配偶体の各細胞の運命決定を裏打ちする分子基盤を明らかにすることを目指している.今年度は本課題の主軸である2核期,4核期の雌性配偶体の逆遺伝学的解析とライブイメージングのための準備を着実に進めることが出来た.全ての解析手法において必要不可欠な形質転換体を作出して,RNA-seqに向けたプロトプラストの単離条件も検討することができた.2核期や4核期と同様の手法で得た雌性配偶体の各細胞の遺伝子発現データを解析した.ここで整備したデータ解析手法を利用することで,今後取得する遺伝子発現データを速やかに解析することが可能である.以上の理由から次年度以降のための基盤を整備が出来たと考えている.

今後の研究の推進方策

雌性配偶体の細胞運命決定機構を調べるための基盤情報を得るために,今年度整備した手法によって,4核期の雌性配偶体のRNA-seqをおこなう.遺伝子発現情報を取得できることを確認でき次第,続けて2核期や4核期の珠孔側,合点側の解析も進める.並行してイメージング質量分析による多核体における植物ホルモンの分布変化を調べる実験系の確立を目指す.

次年度使用額が生じた理由

顕微操作機器の整備を予定していたが、今年度は遺伝子発現データ取得のための材料開発とデータ解析系の準備を進めた。そのため、次年度使用額が生じた。翌年度は合算してサンプリングのための顕微操作機器を整備する予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2020 2019 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (3件)

  • [国際共同研究] Gregor Mendel Institute (GMI)(オーストリア)

    • 国名
      オーストリア
    • 外国機関名
      Gregor Mendel Institute (GMI)
  • [雑誌論文] Targeted reprogramming of H3K27me3 resets epigenetic memory in plant paternal chromatin2020

    • 著者名/発表者名
      Michael Borg, Yannick Jacob, Daichi Susaki, Chantal LeBlanc, Daniel Buendia, Elin Axelsson, Tomokazu Kawashima, Philipp Voigt, Leonor Boavida, Jorg Becker, Tetsuya Higashiyama, Robert Martienssen, Frederic Berger
    • 雑誌名

      Nature Cell Biology

      巻: in press ページ: -

    • DOI

      10.1038/s41556-020-0515-y

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Microtubule depletion domain 1 localizes at the boundary between female gametes in Arabidopsis thaliana2019

    • 著者名/発表者名
      Tsutsui Hiroki, Sato Yoshikatsu, Susaki Daichi, Higashiyama Tetsuya
    • 雑誌名

      Molecular Reproduction and Development

      巻: 86 ページ: 925~925

    • DOI

      10.1002/mrd.23175

    • 査読あり
  • [学会発表] 卵装置の形態から迫る精細胞ポジショニング制御機構2019

    • 著者名/発表者名
      須崎 大地, 大井 崇生, 友実 駿, 榎本 早希子, 荒井 重勇, 木下 哲, 丸山 大輔
    • 学会等名
      日本植物学会第83回大会
  • [学会発表] シロイヌナズナの雌性配偶体細胞におけるエピゲノム制御機構の解析2019

    • 著者名/発表者名
      鎌田 千裕,長谷川 綾子,殿崎 薫,須崎 大地,丸山 大輔,木下 哲
    • 学会等名
      日本植物学会第83回大会
  • [学会発表] 助細胞特異的転写因子MYB98 に制御される新規誘引物質の探索2019

    • 著者名/発表者名
      長江拓也,武内 秀憲,須崎 大地,東山 哲也
    • 学会等名
      日本植物学会第83回大会

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公開日: 2021-01-27  

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