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2019 年度 実施状況報告書

遺伝子発現ゆらぎの分散と多峰性が進化速度におよぼす影響の測定

研究課題

研究課題/領域番号 19K16207
研究機関大学共同利用機関法人自然科学研究機構(新分野創成センター、アストロバイオロジーセンター、生命創成探究

研究代表者

近藤 洋平  大学共同利用機関法人自然科学研究機構(新分野創成センター、アストロバイオロジーセンター、生命創成探究, 生命創成探究センター, 助教 (00724444)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード遺伝子発現制御 / 進化実験
研究実績の概要

(1)人工遺伝子回路による薬剤耐性遺伝子発現の制御:多剤排出トランスポーターbfr1を野生株からクローニングし、蛍光レポーターを付加して分裂酵母染色体に組み込んだ。このbfr1の発現を定量的に制御するためにTet発現誘導システムの利用を予定していたが、より高い発現量を実現できるエストラジオール発現誘導システムを代わりに用いた。抗生物質としてブレフェルジンAとシクロヘキシミドを使い、組み込んだbfr1が実際に薬剤耐性を強化することを確認した。上記のシステムを組み込む細胞株については、薬剤スクリーニングのために作出され内在性の薬剤耐性システムを欠いているSAK879を利用することとした。SAK879ではbfr1発現量による増殖速度の違いが大きいため、次年度に実施する進化実験においてデータのシグナル-ノイズ比が改善し、また実験期間も短縮できると期待される。
(2)プロモーターへの変異導入による発現ゆらぎの増強と抑制:PCRを用いたランダム変異導入によって、プロモーターPadh1の変異ライブラリーを作成した。変異プロモーターのスクリーニングを実施し、発現ゆらぎが野生型と異なるプロモーター候補を得ている。
(3)一細胞増殖動態の測定:細胞の位置を固定し、長時間の観察を可能にする微小流体デバイスを利用して、一細胞レベルでの耐性遺伝子発現量と増殖速度を測定し、正の相関を確認した。

(1)、(2)、および(3)によって、本研究の目的である「遺伝子発現ゆらぎの確率分布形状が進化速度におよぼす影響を進化実験によって測定する」ための準備が整ったといえる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度の計画は大きくわけて、(1)薬剤耐性をもたらすトランスポーターbfr1のクローニング、(2)Tet発現誘導システムを用いたbfr1の制御、(3)微小流体デバイスによる一細胞増殖動態観察、であった。(1)については問題なく成功、(2)についてはより新しいエストラジオール発現誘導システムによって実現、(3)については当初デバイスとしてマザーマシンを使用する計画であったが、デバイスへの細胞封入が簡便なミリポア社のCellASICシステムへと変更した。上記のような技術的変更はあったが、初年度の研究目標は達成できた。

今後の研究の推進方策

当初の計画通り進化実験を実施し、遺伝子発現ゆらぎの確率分布の形状が適応進化速度に及ぼす影響を測定する。現在、進化実験のための長期連続培養機器について予備実験を実施している。それと並行して、複雑な遺伝子発現ゆらぎに対応できる進化モデルの構築を行う。

次年度使用額が生じた理由

分注ワークステーションを購入予定であったが、その機能を代替可能な設備を利用できることになり、購入を見送ったために次年度使用額が生じた。しかし、消耗品について当初の予定より多く必要なことが判明したため、そちらに充てる予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Stochastic dynamics of expression of multidrug resistance transporter and growth at single-cell level2019

    • 著者名/発表者名
      Yohei Kondo, Yuhei Goto, and Kazuhiro Aoki
    • 学会等名
      10 th International Fission Yeast Meeting
    • 国際学会

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公開日: 2021-01-27  

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