研究課題/領域番号 |
19K16210
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研究機関 | 愛知教育大学 |
研究代表者 |
常木 静河 愛知教育大学, 教育学部, 講師 (10632789)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 訪花昆虫 / 外来種 / 多様性 / 進化 |
研究実績の概要 |
本研究では、左右相称性に違いがみられるクワガタソウ属について、昆虫の訪花頻度と花の左右相称性の関係を、近縁種間および種内の集団間で比較することで、花の左右相称化が他殖という繁殖システムのシフトに伴って起こるのかどうかを検証することを目的とする。自殖しやすい花と他殖しやすい花の構造的な違いとして、雄蕊と雌蕊の最適な配置の仕方が異なることに注目することで、左右相称性が繁殖システムのシフトに伴って起こるという新規の仮説を考えた。この仮説を実証できれば、被子植物が多様化する過程で、左右相称性が進化したり、失われたりすることで、繁殖システムも転換している可能性を示すことになり、送粉者との共生系の中でどのように被子植物が爆発的な多様化を遂げたのか知ることができる重要な研究となる。 今年度は、クワガタソウ属カワヂシャを材料とし、外来種オオカワヂシャが侵入している集団でオオカワヂシャの除去区と非除去区を設けて訪花昆虫を調査した。また、オオカワヂシャが侵入していない集団でも訪花昆虫調査を行った。その結果、オオカワヂシャが侵入すると、カワヂシャ本来の訪花昆虫相と比較し、ハナバチ類が増加することがわかった。また、混生集団でオオカワヂシャを除去するとカワヂシャへの訪花頻度が増加することがわかった。花形態については、オオカワヂシャが侵入している集団よりも侵入していない集団で左右相称性が高い傾向がみられたが、調査した集団数も限られていたため、今後、再検討する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画どおり、訪花頻度の異なると考えられる同種の集団間での訪花昆虫相を調査することができた。
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今後の研究の推進方策 |
訪花昆虫相について外来種が侵入している集団としていない集団の調査数を増やし、花形態における左右相称性の比較検討も進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
出産により研究を中断したため、次年度使用が生じた。 計画に基づき、花形態および訪花昆虫相、繁殖特性の調査を行う。また、必要な遺伝解析を行う。
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