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2020 年度 実施状況報告書

餌資源の分割によるハエトリグモ類の多様性創出と維持

研究課題

研究課題/領域番号 19K16216
研究機関兵庫県立大学

研究代表者

山崎 健史  兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 准教授 (90746786)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードハエトリグモ科 / 安定同位体
研究実績の概要

就職に伴う所属先の異動や、コロナウイルス感染拡大防止のための外出制限のため、予定していた新たなサンプル採集は行わず、すでに得られているサンプルから分類学的な研究を行った。
マレーシアから得られた標本をもとに、ハエトリグモ科の1種Agorius hyodoiを新種記載した。オスとメスのペアは、DNAバーコーディングによって決定した(Yamasaki et al. 2020)。本種は、地表徘徊性のため、土壌性の微小昆虫類を捕食すると推測できるが、安定同位体分析において、比較的植物食寄りの雑食性を示している。一方、同じ地表徘徊性のウデブトハエトリグモ属の仲間は、安定同位体分析の結果から、肉食傾向を示しており、同じハビタットでも餌資源の分割が生じている可能性が示唆された。また、ネコグモ科のAetius属の1種を、Aetius bicuspidatusとして新種記載した(Yamasaki et al. 2020)。本種は、腹柄が長く、Myrmarachne cornutaのように、Teraponera属のアリ類に擬態している可能性が高く、植物食の傾向を示す可能性がある。今回までは、安定同位体分析に用いるサンプルが用意できなかったが、今後、食性の解明が求められる種の一つである。
これまで、ハエトリグモ科 Salticidaeとして、一まとまりにしていたサンプルを、再同定し、21属22種に分けた。カラスハエトリグモ属 Rheneのサンプルは、非常に高いN値を示している。これは、肉食性の餌生物を常食していると解釈できるが、1個体のみの情報のため、今後サンプルの追加が必要である。アリ食と考えられているCosmophasis属はN値が、4-5‰、Siler属は、4‰付近の値を持つ。いずれもN値が1-2‰のアリを捕食していると推測され、これまで分析したランビルヒルズ国立公園全体のアリ類のなかでは、Tetraponera attenuataが候補のアリ種候補である。しかし、あくまで食性の傾向なので、餌生物を特定するには、胃内容物のメタバーコーディングなどの手法を用いる必要がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

就職に伴う所属先の異動や、コロナウイルス感染拡大防止のための出張の制限などにより、2020年度に予定していたサンプリングができなかった。そのため、新規でのサンプル解析が行えなかった。特に海外調査は、今後も目処が立たない。

今後の研究の推進方策

当初の予定では、台湾などでデータを集める予定だったが、今後は海外での調査は、難しいと予想される。そのため、国内の調査サイトに限定して、採集調査を行う。ただ、すでに緊急事態宣言が発令され外出等の制限がかかっているため、職場、自宅付近など感染拡大をさせてしまわないようなエリアに限定するかもしれない。また、すでに得られているサンプルからの解析に集中するなど、できる範囲のことをやっていこうと考えている。

次年度使用額が生じた理由

コロナの影響で、予定していた海外調査ができず、また解析すべき追加サンプルが得られなかったため、今年度の研究費に大幅な余りが出てしまった。次年度もおそらく海外調査や、国内調査でも出張制限がかかると予想される。コロナ感染拡大に影響しないような職場や自宅周辺のエリアを選び、追加サンプルを解析することで、予算を使用する予定である。また、すでに得られたサンプルに関しても、他の解析を行ってみることも検討する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 4件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] A survey on poorly-known rainforest litter-dwelling spiders of Orchid Island (Lanyu, Taiwan) with the description of a new species (Araneae: Linyphiidae, Tetrablemmidae, and Theridiosomatidae).2021

    • 著者名/発表者名
      Ballarin, F., Yamasaki, T. & Su, Y.-C.
    • 雑誌名

      Zootaxa

      巻: 4927 ページ: 197-208

    • DOI

      10.11646/zootaxa.4927.2.2

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Nihonella gen. nov., a new troglophylic genus of dwarf spiders from Japan with discussion on its phylogenetic position within the subfamily Erigoninae (Araneae, Linyphiidae).2021

    • 著者名/発表者名
      Ballarin, F. & Yamasaki, T.
    • 雑誌名

      European Journal of Taxonomy

      巻: 733 ページ: 1-18

    • DOI

      10.5852/ejt.2021.733.1215

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] A new corinnid species of the genus Aetius Pickard-Cambridge (Araneae: Corinnidae) from Sarawak, Borneo2020

    • 著者名/発表者名
      Yamasaki, T., Hyodo, F., Itioka, Y., Hashimoto, Y., Endo, T.
    • 雑誌名

      Acta Arachnologica

      巻: 69 ページ: 105-108

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] A new species of the genus Agorius (Araneae: Salticidae) from Sarawak, Borneo2020

    • 著者名/発表者名
      Yamasaki, T., Hashimoto, Y., Endo, T., Hyodo, F., Itioka T. & Meleng, P.
    • 雑誌名

      Acta Arachnologica

      巻: 69 ページ: 37-41

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] ヤガタアリグモの正体について2020

    • 著者名/発表者名
      山﨑健史
    • 学会等名
      日本蜘蛛学会第52回大会(東海大学,オンライン)

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公開日: 2021-12-27  

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