京都御苑で発見されたカワセミソウの進化的起源と花形態の適応的意義の解明を目指して研究を行った。DNA分析の結果、カワセミソウは隣り合って咲く近縁種と遺伝的に区別できることが示され、極めて最近に種分化が起きたことが示唆された。近縁種と比較して著しく伸長した花をつけるカワセミソウには、ほとんど昆虫が来ないが明らかとなり、これが同所的な環境で交雑を抑制している要因の一つと考えられた。しかしながら、なぜ適応的でない花をもつカワセミソウが京都御苑だけに生育するのか?については結論を得ることができなかった。
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