研究課題/領域番号 |
19K16220
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研究機関 | 沖縄科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
金尾 太輔 沖縄科学技術大学院大学, 進化ゲノミクスユニット, 研究員 (40758421)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 野外調査 / 未記載種 / DNA実験 / 系統解析 |
研究実績の概要 |
本研究の対象である、アシナガシロアリおよびオオキノコシロアリを寄主とする好白蟻性昆虫(ハネカクシ・シミ・ハエ)のDNA抽出用の標本を得るため、マレーシア・ペナン島およびボルネオ島サラワク州において野外調査を実施し、いずれの調査地においても目的の昆虫を得ることができた。特に、ボルネオ島では、アシナガシロアリを寄主とするハネカクシの希少な未記載種の追加標本を得ることができた。また、いずれの野外調査においても、対象の好白蟻性昆虫に加えて、その他のシロアリを寄主とする多数の好白蟻性昆虫を得た。 得られた標本のうち、アシナガシロアリを寄主とするハネカクシについて、DNA抽出とシーケンスを実施した。また、これまでにマレー半島・ボルネオ島・スマトラ島から得られていたものも含めた77サンプル(未記載種を含む2属10種以上)を対象に、予備的な系統解析を実施した。その結果として、ボルネオ島における高い遺伝的多様性とその複雑な進化的背景が示唆され、さらなる野外調査の必要性が示された。得られた系統樹に基づき、一部の系統に含まれる種の形態を顕微鏡下で再度詳細に観察し、これまで分類形質として重視されていた交尾器形態に加えて、口器形態などの微小形態にも種間差がよく現れていることが判明し、分類学的再検討を開始した。 オオキノコシロアリを寄主とするハネカクシついては、今後のDNA実験に用いる標本を選抜するため、2属を対象に形態観察を行い、識別できた6種の中に少なくとも3未記載種が含まれることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
野外実習およびDNA実験をおおむね予定通り実施できた。
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今後の研究の推進方策 |
コロナウイルスの状況を見ながら、可能であれば東南アジアにおいて2回程度の野外調査を実施する。また、これまでに認識している未記載種について記載論文を執筆するとともに、それぞれの種についてDNA抽出とシーケンスを進め、系統解析を実施する。得られた成果を学会および論文として発表する。
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