令和4年度は、以下の研究報告を行なった: ヤマアカガエル(Rana ornativentrisの幼生期における血縁認識への学習効果の影響についてまとめた結果ー幼生は「誰が仲間か」を学ぶことができ、種内関係にも影響することーを国際誌に発表した。本研究結果は研究機関よりプレスリリースした。 都立動物園・水族園と協力して2015年より継続して行なっているニホンヒキガエルB. japonicusの繁殖状況の調査および西日本亜種系統の侵入状況について、現状をまとめあげ、和文誌への論文発表と最新情報の学会発表を行なった。東京都内の38ヶ所の繁殖池を対象にmtDNAの系統解析を行なった結果、26/37箇所で西日本亜種系統を確認。2023年の調査で新たに南多摩地区まで侵入が拡大していることを。九州地方からの移入もあったことがわかった。区部では少なくとも5緑地で10分の1以下に繁殖規模が激減している現状が把握された。 都市環境における(B. japionicus)の幼生の生存率について、令和4年度に行なった実験結果を解析し国際誌に発表。両生類の保全における新知見ー水環境(水質および微生物相)とグループサイズの影響ーについて報告した。 11、12月に沖縄県大東島諸島にて野外調査を実施し、ミヤコヒキガエル(B. gargarizans miyakonis)の繁殖個体に南・北大東島間で体調差があることを和文誌に報告した。幼生の社会行動についても現地で実験検証も行い、Groupingの際の他個体への選好性の差を2つの選択テスト(個体数と個体サイズ)を用いて検証した結果、発達段階で差があることがわかった。本件結果は解析を終え論文執筆中であり、令和5年度中に国際誌上で発表の見込みである。
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