研究課題/領域番号 |
19K16230
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
鈴木 紀之 高知大学, 教育研究部総合科学系生命環境医学部門, 准教授 (00724965)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 繁殖干渉 / 捕食回避 |
研究実績の概要 |
天敵から身を守るための戦略として、派手で目立つ警告色と地味で目立たない隠蔽色は正反対だといえる。警告色と隠蔽色という相反する機能をもつ形質が分化するためには、生態的状況が環境によって大きく異なり、かつその進化を可能にする遺伝メカニズムが必要だと考えられる。この仮説を検証するべく、そのモデルとして、同じ種類の中で警告色と隠蔽色の両方が存在するクリサキテントウを対象に研究を行なう。 本年度の研究では、沖縄県の各島(沖縄本島、伊平屋島、宮古島など)においてクリサキテントウのサンプリングを行なうとともに、ニッチ(生息している樹種や潜在的な餌の種類)を記録した。代表研究者のこれまでの調査結果と合わせて、南西諸島におけるクリサキテントウのニッチ利用について成果を発表した(Noriyuki et al 2019 Entomological Science)。これらの島々の個体群では、基本的には警告色(赤地に黒い斑点)を示しているが、一部の個体群では隠蔽的な特徴をもつ個体群も見られた。利用しているニッチによって捕食回避形質に制約が生じているかどうか今後調べるため、胃内容物分析を行なえるようサンプルを処理した。また、色彩と模様を客観的に定量化する必要がある。そのための機材として、紫外線を含めて撮影できる一眼レフカメラ一式を準備し、所属機関の実験室の暗室にセットアップした。画像解析の方法に関しては、外部研究者の助言を受けつつ理論的な背景について学習した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた国内調査、外部研究者との打ち合わせ、機材のセッティングが完了したため。
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今後の研究の推進方策 |
得られたサンプルをもとに画像解析を行ない、本州の個体群や近縁種とも色彩と模様を比較する。さらに、これらの形質が遺伝的・可塑的に決まっているのか検証するため、その画像解析手法をベースとして、実験を行なう。所属先研究室の学生と協力しつつ実験を進める。また、調査に関して琉球大学・熱帯生物圏研究センターの戸田守博士と引き続き連携を図る予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
一部の国内出張を計画通りに実施できなかったが、次年度には研究室の所属学生とともに出張・実験を精力的に実施していく。
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