本研究では、同じ種類で警告色と隠蔽色の両方が存在しているクリサキテントウを対象に、警告色と隠蔽色の切り替えをもたらす生態的・遺伝的要因の解明を目的とした。本州・四国・南西諸島の島々においてクリサキテントウを採集し、斑紋の数と面積、色彩を測定した。その結果、島ごとにこれらの形質が有意に異なること、また、同じ島内であっても著しい個体間変異が維持されていることが分かった。特に、南西諸島の一部の離島では、斑紋の数が少なく、斑紋の面積が少なく、色彩が薄い個体が含まれており、一般的な警告的な色彩ではなく、隠蔽的の個体も共存していることが示唆された。
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