研究課題/領域番号 |
19K16234
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
西原 亜理沙 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 日本学術振興会 特別研究員(PD) (80837774)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 微生物生態系 / 物質循環 / 化学合成 / 窒素固定 / 微生物培養 |
研究実績の概要 |
熱水化学合成微生物群集では、硫酸還元菌と発酵細菌、化学独立栄養細菌が主な窒素固定細菌であることが申請者による先行研究から分かっていた。2020年度の研究では、熱水化学合成微生物群集から新たに70度以上で窒素固定をするFirmicutes門に属する発酵細菌を分離した。分離株のゲノム解析を行ったところ、従来の窒素固定細菌とは異なり、特徴的な窒素固定遺伝子群を保持していることが分かった。また、窒素固定遺伝子の系統解析の結果、分離株の窒素固定遺伝子は超好熱性アーキアが持つものと系統的に近いことが分かった。窒素固定遺伝子の系統樹から、分離細菌は超好熱性アーキアと共に窒素固定能を得ており、初期に誕生した窒素固定生物であることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度の研究では、Firmicutes属細菌の分離株の窒素固定能と窒素固定遺伝子の特徴を明らかにした研究成果が、論文として国際誌(Microbes and Environments)に受理された。窒素固定細菌のゲノムデータとデータベース上の公開ゲノムデータを用い、窒素固定細菌の大規模なゲノム情報を活用することで、窒素固定に関わる未知のタンパク質も同定した。以上を考慮して、概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
現在は、公開ゲノムデータを活用し、ゲノム情報から、窒素固定細菌が出現した時期を推定しようと試みている。窒素固定細菌がどのような代謝機能を発達させ、多様化に至ったのかを明らかにしていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた海外出張がcovid-19の影響を受け、延期したため
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