本研究では,大規模空間におけるコウモリの採餌にまつわる行動生態を明らかにするため,企業と共同開発した音響GPSデータロガーをコウモリに装着するとともに音響定点観測も行うことで,超音波利用と移動行動生態の詳細について調べた.回収されたロガーデータから,キクガシラコウモリがおよそ1-2分間隔で獲物捕食を行っていること,ヤマコウモリが対地高度200 m以上の高度で採餌していることが初めて明らかとなった.また,超音波の定点録音によって捕食行動に伴う超音波利用の詳細も得られてきていることから,今後のデータ蓄積によりさらに詳細な分析が可能になり,コウモリの採餌行動生態の理解が大きく進むことが期待される.
|