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本研究課題では次世代シークエンサーやポータブル型DNAシークエンサーに対応した新たな情報解析技術を考案し、迅速なDNA多型解析システムの構築に向けての研究開発を実施した。研究期間では、性別推定に重要な性特異的ゲノム領域に基づく判定領域の探索、高速な性別推定アルゴリズムの開発、メタゲノムを対象としたDNA多型解析技術などの一連のバイオインフォマティクス技術を開発した。ヒトの性別判定やY染色体ハプログループの推定では、K-merと呼ばれる短い塩基配列を用いることで、従来法に比べると30倍以上高速な判定が可能な技術を開発した。この技術は、少ないDNA量しか得られない微量試料群や異なる生物種由来のDNAが含まれる混合試料群に対しても分析が可能であった。また、コピー数多型（CNV）検出についても、これまでコピー数多型の検出が難しかった断片化したDNA試料に対して適用可能な解析パイプラインを新たに構築し、難解析試料群に対して適用を行うことで、その有効性を確認することが出来た。さらに、本課題では、ヒト以外の生物種（微生物など）のゲノムを高速に比較分析可能な技術も併せて開発した。この技術では、ゲノム間の違いを二次元空間上に距離として表現することで、視覚的にゲノム比較や多型の有無を分析することが出来る。これらの多型解析技術の対象を生物種の系統分類マーカー、疾患関連変異、表現形質関連変異などに幅広く設定することで、フィールドワークでの簡易的なDNA検査や生物種判定、災害時における迅速な身元判定、医療現場における迅速なDNA検査等での応用利用が期待できる。
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