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2019 年度 実施状況報告書

2光子励起顕微鏡による前頭前野スパインの可塑性原理の探索

研究課題

研究課題/領域番号 19K16249
研究機関東京大学

研究代表者

柳下 祥  東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 講師 (50721940)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2021-03-31
キーワードスパイン形態可塑性 / 前頭葉
研究実績の概要

P40-P45程度のマウスの前頭葉を含む急性スライスを作成し、錐体細胞から全細胞記録を行った。蛍光色素を灌流させ、2光子励起顕微鏡によるスパイン観察を行った。さらに2光子刺激とケイジドグルタミン酸と電流注入による発火を行い、スパインの形態可塑性条件を探索した。その結果グルタミン酸刺激と発火だけでは可塑性は起きないが、ノルアドレナリンを投与することにより可塑性が促進された。これは古典的な電気生理実験でしられていた。さらに化学遺伝学と抑制性インターニューロンの特異的プロモータ、およびAAVによる遺伝子導入を用いて、抑制性インターニューロンを抑制した個体から脳スライスを作ると可塑性が増強しているという新規知見を得た。しかし、脳スライスでの抑制性インターニューロンの操作は可塑性に影響しなかった。さらにc-fos陽性細胞の錐体細胞は可塑性が高かった。これらのことから活動履歴が可塑性を制御するという新たな現象がみられた可能性が考えられた。さらに、このような前頭葉のスパイン・シナプスの可塑性依存的な行動の探索を行った。その結果、恐怖条件づけの消去、認知セットシフト課題に関わることが分かってきた。さらに前頭葉機能の1つといわれている短期記憶を評価する実験系としてYメイズを構築した。前頭葉可塑性障害マウスでは短期記憶が障害されていることも予備的にわかった。このような自由行動下のマウスの神経活動やモノアミン動態を計測するために、ファイバーフォトメトリー法を用いる実験系を新たに構築した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

抑制性・インターニューロンによる遅い可塑性制御という新たな知見を得た。また、行動実験も進捗し、可塑性が制御する行動の候補を複数得ることができた。

今後の研究の推進方策

恐怖条件づけの消去もシナプス可塑性と同様にノルアドレナリンとインターニューロンによる制御機構で説明されるのかを今後ファイバーフォトメトリー法と光遺伝学を組みあわせて検証していく。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Dopamine D2 receptors in discrimination learning and spine enlargement2020

    • 著者名/発表者名
      Iino Yusuke、Sawada Takeshi、Yamaguchi Kenji、Tajiri Mio、Ishii Shin、Kasai Haruo、Yagishita Sho
    • 雑誌名

      Nature

      巻: 579 ページ: 555~560

    • DOI

      10.1038/s41586-020-2115-1

  • [雑誌論文] Transient and sustained effects of dopamine and serotonin signaling in motivation‐related behavior2019

    • 著者名/発表者名
      Yagishita Sho
    • 雑誌名

      Psychiatry and Clinical Neurosciences

      巻: 74 ページ: 91~98

    • DOI

      10.1111/pcn.12942

    • 査読あり

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公開日: 2021-01-27  

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