• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2019 年度 実施状況報告書

マウス線条体および脚内核において見出した詳細な形態学的性質と神経連絡の関係

研究課題

研究課題/領域番号 19K16262
研究機関熊本大学

研究代表者

宮本 雄太  熊本大学, 大学院先導機構, 助教 (30816822)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード免疫組織化学 / 線条体 / Tri-laminar part / 脚内核 / Core/Shell構造 / トレーサー実験
研究実績の概要

本研究は、マウスの脳において大脳基底核を構成する神経核の一つである線条体および脚内核(霊長類の淡蒼球内節に相当)の間に存在する詳細な神経連絡の関係を明らかにすることで、これまで未解明であったパーキンソン病やジストニア等の難治性疾患についての病態理解を促進することが目的である。両神経核の詳細な結合関係を解明するためには、まず、それぞれの内部構造について検討する必要があることから、私はこれまでに線条体および脚内核の内部構造を、免疫組織化学を用いて解析し、三次元再構築することで両者の全体像を形態学的観点から明らかにしてきた。昨年度は、線条体の尾側部において免疫組織化学的性質が従来の報告とは異なる新たな領域が存在することを見出し、この領域における特異的な神経細胞の局在パターンの解析結果と合わせて海外の学術雑誌に報告した。具体的には、線条体は、形態学的に様々な化学マーカーにより同定される斑模様のストリオソームとその間を埋めるマトリックスと呼ばれる二区画から構成されるが、線条体の尾側部にはこれらの区画には当てはまらない三層構造(Tri-laminar part)を成す形態が存在することを見出した。しかもこれらの各層内部に存在する線条体ニューロンの種類にもそれぞれ特徴的な違いが観察され、基底核の正確な機能回路を考える上での新たな所見が得られた。
また、脚内核についても、線条体に由来する軸索終末の免疫組織化学的性質の違いによってCoreおよびShellと名付けた二重の楕円構造が形成されるという以前の我々の所見に加え、これまでに知られていなかった種類のニューロンが特定の領域に存在することを見出した。この新たなニューロンの投射領域についても免疫染色とトレーサー実験を組み合せることで明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

上記の通り、線条体と脚内核の間における詳細な結合関係を解明する上で両者の内部構造を正確に把握することは必須の課題である。本研究の実験期間は三年間であるが、初年度は両者の詳細な内部構造の解明に努めた。特に、線条体においてはこれまで知られていなかった新たな形態学的性質を示す領域を見出し、その内部に存在するニューロンの特徴的な分布パターンを明らかにした。脚内核においても新たな免疫組織化学的性質を持つニューロンが存在することを見出し、さらにそのニューロンの投射ターゲットも同定した。線条体の所見については昨年度に学術雑誌へ報告済みであり、脚内核についても学術雑誌への投稿準備中であることから、概ね順調に計画が進んでいると考えている。

今後の研究の推進方策

今年度は、これまで明らかにしてきた線条体および脚内核の内部構造に基づいて、トレーサー物質を両神経核の特定の亜区域に注入し、免疫組織化学と組み合わせることで両者の結合関係を明らかにしていく。具体的には、逆行性トレーサーを脚内核のCoreおよびShell領域に打ち分け、線条体内部において逆行性に標識されるニューロンの分布パターンを検討する。我々は以前の線条体の研究において斑模様で認められるストリオソーム区画が決して一様ではなく、多様な免疫組織化学的性質に基づいて数種類に区分でき、しかもそれぞれが特定の部分でテリトリーを構成して存在することを報告している。今後の実験計画では、脚内核のCoreもしくはShellに注入されたトレーサーが線条体のどのテリトリーに局在するニューロンにおいて逆行性に標識されるのかを検討する。さらに、順行性トレーサーを線条体の各テリトリーに打ち分けて、脚内核において順行性に標識される軸索終末がどの脚内核ニューロンとシナプスを形成するのかも合わせて検討を行う。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Three divisions of the mouse caudal striatum differ in the proportions of dopamine D1 and D2 receptor-expressing cells, distribution of dopaminergic axons, and composition of cholinergic and GABAergic interneurons2019

    • 著者名/発表者名
      Miyamoto Y, Nagayoshi I, Nishi A, Fukuda T
    • 雑誌名

      Brain Structure and Function

      巻: 224 ページ: 2703-2716

    • DOI

      10.1007/s00429-019-01928-3

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] マウス脚内核に存在するNOS陽性ニューロンの投射領域の検討2020

    • 著者名/発表者名
      宮本雄太、福田孝一
    • 学会等名
      第125回日本解剖学会総会・全国学術集会
  • [学会発表] マウスの線条体と脚内核に見出した新しい内部区分2019

    • 著者名/発表者名
      宮本雄太、福田孝一
    • 学会等名
      次世代脳プロジェクト 冬のシンポジウム2019
  • [学会発表] マウス脚内核に見出した新たな亜区域およびニューロンとその投射領域の検討2019

    • 著者名/発表者名
      宮本雄太、福田孝一
    • 学会等名
      第51回日本臨床分子形態学会総会・学術集会

URL: 

公開日: 2021-01-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi