研究課題/領域番号 |
19K16271
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
橋本 翔子 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, 基礎科学特別研究員 (50632890)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 神経炎症 / 神経変性 / 酸化ストレス |
研究実績の概要 |
酸化ストレスは、アルツハイマー病(AD)などの神経変性疾患の病態進行に関わることが提唱されている。酸化ストレス防御を担う内在性抗酸化因子グルタチオンは、老化やADの進行に伴って減少する。本研究計画では、グルタチオン欠乏マウスを用い、酸化ストレス下において、グリア細胞(アストロサイト・ミクログリア)がどのように神経細胞死を誘導するのか、そのメカニズムを解明する。 2019年度は、グルタチオン低下マウスでみられる神経変性において、神経炎症(活性化ミクログリア・活性化アストロサイトの作用)がどのように関与するかを明らかにするため、グルタチオン低下マウス脳サンプルを用いた、プロテオミクス解析を行った。その結果、グルタチオン低下マウスの神経変性においては、1.ミクログリアによる神経細胞の貪食シグナルが神経変性に伴う脳萎縮に関わっていること、2.パイロトーシス(炎症性細胞死)が神経細胞死に関与していること、3.さまざまな炎症性サイトカイン・ケモカインが活性化してそのシグナルによって神経細胞死を引き起こしていること、などが予測される結果を得ることができた。来年度は、これらの得られた結果より、次のステップの実験を行うことで、詳細なメカニズムを解析していく予定である。 当初予定していた、脳から単離したミクログリアのプロテオミクス解析については、脳からのミクログリア単離についての条件検討等を行った。来年度から、本実験を始める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定どおり、プロテオミクス解析による神経変性メカニズムの考察を行うことができた。この結果をもととした、詳細な解析を来年度から始めることができる。 当初予定していた、脳から単離したミクログリアのプロテオミクス解析については、その条件検討等を行った。来年度から、本実験を始める予定である。 また、本研究成果に関して、学会発表を行った。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度に得た結果をもとに、1.ミクログリアによる神経細胞の貪食シグナル欠損マウスにおける神経炎症・神経変性の解析、2.パイロトーシス低下マウスにおける神経細胞死の解析、3.サイトカイン・ケモカインの神経細胞死における機能の詳細な解析を予定している。これにより、神経炎症と神経変性がどのように関わっているのか、詳細に解析する予定である。また、グルタチオン低下マウスにおいて神経変性に関わるグリア細胞についてさらなるキャラクタライズを行うため、RNAシーケンス解析等も取り入れ、神経変性メカニズムの詳細を解明していく。
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