2022年度は、大阪市立大学の広常らとの共同研究で、αシヌクレインが、チロシン化され凝集を引き起こすことを報告した。また、滋賀医科大学の漆谷らとの共同研究で、DNA double-strand break repair経路が、アルツハイマー型認知症において障害されていることを報告した。
全研究期間の報告としては、2019年度はシヌクレイン変異をもつマウスが行動異常を呈することを報告し、ヒト組織での解析結果との比較を報告した。 2020年度はシヌクレインたんぱく質が、MSAのオリゴデンドロサイト分化障害にかかわっていることを報告し、また、ヒト組織での解析結果との比較を報告した。神経炎症の制御にかかわっているリニアユビキチンがALSの細胞質内封入体でにおいて、陽性であることを中山らと報告した。そのほか、筋における変性タンパクと、炎症の関係に関するものとして、プロテアソームの変異によっておこる中條西村病の筋病理において、炎症と細胞内封入体が見られることを論文報告した。 2021年度は神経炎症系のシグナルについて、インフラマソームと同じく、自然免疫のひとつであるSTING経路について検討を行い、MSAのアストロサイトにおけるSTING関連タンパクについて、剖検脳での検討を行い、αシヌクレインとSTING関連タンパク陽性ミクログリアが増加することを報告した。また、患者髄液でのインターロイキンの測定を行った。実験結果は、井上らと、STING経路を報告した。そのほか、広島大学との共同研究で、OPTN変異マウスの病理像と、ヒト剖検脳との比較を行い、OPTN変異により、オートファジー異常が起こることを報告した。
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