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2020 年度 実績報告書

模倣の対象を選択する神経機構

研究課題

研究課題/領域番号 19K16284
研究機関早稲田大学

研究代表者

田中 雅史  早稲田大学, 文学学術院, 専任講師 (20835128)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2021-03-31
キーワードキンカチョウ / 模倣学習 / 中脳水道周囲灰白質 / ドーパミン / 文化的伝承 / 歌鳥 / 鳴禽 / ソングバード
研究実績の概要

本研究は、優れた模倣能力を有するスズメ亜目の鳥(songbird, 歌鳥)の一種キンカチョウを用いて、歌の模倣対象を選択する神経メカニズムを探究している。まず、模倣によって文化的に伝承される歌の特徴を調べるため、キンカチョウの歌の様々な音響的性質を解析するプログラムを開発しており、そのうち歌のリズムを解析するプログラムを用いた解析によって、リズムの安定性が、個体から個体へと伝承される文化的形質である可能性が示唆された。また、学習によって速度やパターンは完全に模倣されないこともあったが、それでも学習後の歌には10 Hz程度の安定したリズムが認められており、個体は、リズムの安定性のような文化を受け継ぎながらも、新しい歌のパターンを探索していることが示唆された。また、社会的隔離を経験した鳥の歌では、発声の順序を人工的に入れ替えてシャッフルするとテンポの安定性が崩れるという、通常の鳥の歌では認められる時間的性質が認められなかった。このテンポの発声順序依存性は、リズムをもった音声なら必ず見られる特性というわけではなく、たとえばマウスが求愛時に発する超音波域の発声や、ヒトの言語的な音声も一定のテンポを持つが、その発声の順序を入れ替えてもテンポの安定性は変化しなかった。しかし、興味深いことに、ヒトの音楽的な歌(独唱)は、キンカチョウの歌のように、順序を入れ替えることでテンポの安定性が崩れることがわかった。シミュレーションの結果から、キンカチョウの歌やヒトの歌に見られる発声順序依存性は、オシレーターのようなメカニズムでそのリズムが維持されているという可能性が示唆されている。現在、これらの成果をまとめ、国際専門誌への投稿準備を進めているところである。

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公開日: 2021-12-27  

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