研究実績の概要 |
最終年度の成果:排尿に関与する領域である中脳水道周囲灰白質(PAG)に逆行性神経トレーサーであるコレラトキシンB(CTB)注入したところ、臭球、前帯状皮質(ACC)、島回、線条体、視床下部に蛍光を確認した。この結果は前年度までで光遺伝学を利用して麻酔下のマウスを使用して前帯状皮質の興奮性ニューロンを選択的に刺激したところ、排尿反射を出現させた結果およびPAGから逆行性にCreを発現させACCにCre依存性にChR2を発現するアデノ随伴ウイルスを投与し排尿反射を出現させたマウスを光刺激を行ったところ光刺激時に排尿反射を出現させた結果と組み合わせると今後マウスの排尿経路を同定できる可能性を秘めた結果であると考える。すなわち臭球-ACC経路、ACC-視床下部系路、視床下部-PAG経路、島回-ACC経路の4つの経路を選択的に刺激することで、排尿経路および膀胱内圧以外の排尿に関与する求心路を同定できる可能性を示唆することができた。すでに2匹のマウスを同じ部屋に入れた場合に排尿分布が主人となったマウスと子分となったマウスでは異なることは報告されている。(Cell, 2016)また犬などがマーキングを行っていることはおそらく嗅覚刺激も排尿の誘因となっている可能性があると考えられる。今後、これらの経路の選択的な刺激およびテレオプトなどの慢性行動用の光遺伝学機器を使用することで大脳における排尿経路の全容を解明することができると考えている。
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