研究課題/領域番号 |
19K16307
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
藤原 広一 北海道大学, 薬学研究院, 助教 (40837853)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | レゾルビン / ω-3系脂肪酸 / 代謝安定化 |
研究実績の概要 |
レゾルビン類は強力な炎症収束作用を有するため、新たな抗炎症薬の候補として注目されているが、詳細な作用機序や構造活性相関研究が進んでいない。さらに、化学的および生物学的に非常に不安定で、特に生体内ではω末端とその周辺部位が酸化されて不活性化される。申請者は生体内で代謝される部位に置換基を導入することにより、生体内におけるレゾルビン類の不活性化を抑制できると考えた。本研究ではレゾルビンE類に着目し、そのω末端に置換基を有する誘導体の効率的な合成法を確立する。そして、ω末端置換基の立体的及び電子的性質が抗炎症作用と酸化的安定性にどのように影響するのかを明らかにするとともに、抗炎症作用を維持したω酸化に対して安定なレゾルビンE類誘導体創出を目指した。 今年度はレゾルビンE1およびレゾルビンE2のω末端置換誘導体を効率的に合成するために、合成終盤にω末端部位を導入できる合成経路の確立を目指した。すなわち、合成経路確立に必要な重要中間体の合成およびその連結を行った。逆合成解析に従い、レゾルビンE1およびE2の合成に必要なそれぞれ3つの重要中間体から合成を行うことにした。合成過程において、若干ながらアルケンの異性化やEZ選択性に課題を残したものの、これらの重要中間体は原料由来の立体化学を用いることで容易に光学活性体として調製することができた。さらに、反応位置を制御した選択的アルケン構築反応により重要中間体の連結にも成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ω末端置換誘導体の効率的な合成法確立に必要な重要中間体の光学活性での調製と反応位置を制御した連結ができ、合成経路確立に目処が付きつつあるため。
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今後の研究の推進方策 |
若干ながらアルケンの異性化やEZ選択性に課題を残しているため、反応条件や精製条件を検討して高純度の誘導体を合成できる方法の確立を行う。その後、様々なω末端置換誘導体を合成し、活性評価を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
参加を見込んでいた学会が中止となってしまい、次年度使用額が生じた。今後の学会参加費やその旅費等に充てたい。
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