研究課題/領域番号 |
19K16312
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
小早川 拓也 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (30801526)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ペプチドミメティック / クロロアルケン型ジペプチドイソスター / 収束的合成 / Fmoc-固相合成法 |
研究実績の概要 |
これまでのペプチドミメティック分野において、逐次的に増炭反応および立体選択合成を行う方法論、いわゆる“直線的合成法”によって、種々のセグメントを合成することが主流であった。この方法論では多様なライブラリーを構築する上で、合成の効率性に欠けている状況にある。 この状況下、本年度では多様なライブラリーを迅速的に合成するために、“収束的合成”の概念を基盤に逆合成解析を行い、新規合成法を開発することとした。また、合成するペプチドミメティックとして、所属分野でこれまに見出している“クロロアルケン型ジペプチドイソスター(CADI)”について試みた。 逆合成解析において、N末端およびC末端アミノ酸側鎖に相当するセグメントにて分割を行えば、対応するペプチドミメティックとなるアナログを事前に準備を行うことで、迅速的に多様な類縁体を合成できるものと考えた。 具体的にはEvans syn aldol反応でN末端とC末端アミノ酸に相当するアナログをコンジュゲートさせた後に、[3,3]-シグマトロピー転位(市川アリルシアナート転位)を経ることで、目的とする種々のペプチドミメティック(CADI)の合成に成功した。また、本合成戦略はペプチド合成に適用可能なBoc保護-またはFmoc保護-カルボン酸(Boc-L-Xaa-ψ[(Z)-CCl=CH]-L-Yaa-OH,Fmoc-L-Xaa-ψ[(Z)-CCl=CH]-L-Yaa-OH)に円滑に変換可能である。さらに、、現在までにFmoc-固相合成法を活用したペプチド合成への応用も可能であることを明らかととしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
下記の点が区分理由である。 ・ペプチドミメティックの分野において、“収束的合成”の概念のもとに種々の類縁体を合成した例は皆無であり、本合成例は世界に先駆けている。 ・これまでに報告されている合成法では、脱保護・再保護を経ることでBoc保護- またはFmoc保護-カルボン酸体に誘導化しており、効率性に欠けていた。しかし、当年度に見出した合成法を活用することによって、直接的に誘導体合成が可能となる合成戦略となっている。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度の研究実績により、収束的合成の概念のもとにペプチドミメティック(クロロアルケン型ジペプチドイソスター)を円滑に合成可能であることを明らかとした。本成果を踏まえて、次年度では、アミロイドβ凝集阻害活性を示すペプチド等に本ペプチドミメティックを導入することで、活性の寄与や凝集阻害機構などの知見を得る方針である。
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