本年度ではペプチドの構造解析、機能維持および向上を指向したペプチドミメティック(クロロアルケン型ジペプチドイソスター: CADI)をケミカルツールとするためのCADIの新規合成戦略の開発および、新規のペプチドミメティックを基盤としたAβの凝集阻害の向上を目指した。 Evans syn aldol反応でN末端とC末端アミノ酸に相当するアナログをコンジュゲートさせた後に、[3.3]-シグマトロピー転位(市川アリルシアナート転位)を経ることで、目的とするCADIを短工程にて合成することに成功した。本合成戦略によって、種々のCADI型ペプチドミメティックの合成が可能となった。 また、本合成戦略を活用して、環状ペプチドミメティック(cyclo[-Lys-Leu-Val-ψ[(Z)-CCl=CH]-Phe-Phe-] )の合成を達成した。得られた本環状ペプチドミメティックはAβ凝集阻害活性が大幅に向上することが確認された。
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