研究課題/領域番号 |
19K16316
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
田良島 典子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学域), 講師 (90755183)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 環状ジヌクレオチド / STING / がん免疫療法 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、環状ジヌクレオチド類をシードとした中分子創薬化学研究により「がん免疫療法薬」としてのSTINGアゴニストを獲得することを目的に研究を実施した。2019年度は、当初計画において1つめの課題として設定した「リン酸ジエステル部のプロドラッグ化研究」に取り組んだ。 プロドラッグ化へ向けた基質となるホスホロチオエート型c-di-AMPの大量合成に成功するとともに、立体化学の違いがSTINGアゴニスト活性および化合物の分解抵抗性に与える影響について精査した。また、収率改善の余地を残すものの、ポストモディフィケーション法によるプロドラッグ基の導入に成功した。現在、得られたプロドラッグ体の活性ならびに性質評価を進めているところである。 また、2020年度に実施予定の課題として設定した「非リン酸ジエステル部含有環状ジヌクレオチドアナログの探索研究」についても、プロトタイプとなるモデル化合物を設定し、その合成法を確立した。次年度は、本合成をコンビナトリアル合成へとブラッシュアップし、STINGアゴニスト活性を有する非リン酸ジエステル部含有環状ジヌクレオチドアナログの獲得を目指す予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」に示した通り、当初計画において2019年度に実施予定の課題として設定した「リン酸ジエステル部のプロドラッグ化研究」に関して、概ね計画通り研究を進めることが出来た。得られたプロドラッグ体の活性ならびに性質評価については、現在進行中の項目もあるが、この間、2020年度に実施予定の課題についても先行して研究を進めることが出来た。 以上のことから、研究の進捗状況はおおむね順調に進展していると判断出来る。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度も当初の計画通り研究を進める予定である。 ただし、現在各地で新型コロナウイルスの感染拡大が問題となっており、研究活動にも若干の影響を与えている。したがって、2020年度の前半は、社会状況に応じた実験の中断および再開が容易な有機合成化学実験ならびに物理化学的性質評価を中心に実施し、細胞や動物の長期培養・飼育を必要とする生物活性評価については、2020年度の後半に集中して実施出来るよう準備を進めている。 また、本研究で獲得するアナログは自然免疫系に作用することから、新興感染症に対する治療薬としての応用も期待されている (Deng et al., arXiv. Org. 2020)。研究成果の速やかな成果発表を行い、さらなる発展に努めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、研究成果発表を予定していた学会が中止となったため。 中止決定連絡を受け、予定していた旅費等を物品費へ振り替えた後、一部は消耗品費として使用したが、年度末であったために残額が生じた。発生した残額は、次年度においても学会等の開催状況が不明確であるため、研究用試薬購入のための物品費として使用し、一層の研究推進に努める。
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