研究課題/領域番号 |
19K16317
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
山本 耕介 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 助教 (40785789)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | スルフェン / スルホニルクロリド / 1,3-双極子付加環化反応 / アゾメチンイリド / 含窒素複素環 / 含硫黄複素環 |
研究実績の概要 |
環状スルホン縮合複素環類は、生物活性物質中に広範に見られるにも関わらず、その簡便かつ汎用性の高い手法は限られている。本研究では、スルホニルクロリドから生じるスルフェンとヘテロ芳香族N-イリドとの1,3-双極子付加環化反応による環状スルホン縮合複素環の新規合成法の開発を目的とする。以下に本年度得られた成果を記す。 前年度に引き続き、スルホニルクロリドとヘテロ芳香族N-イリドとの1,3-双極子付加環化反応の基質適用範囲を検討した。多様な置換基を有するイソキノリンから誘導したヘテロ芳香族N-イリドを検討したところ、立体障害となりうるイソキノリン骨格8位に置換基を有する場合においても、本反応は円滑に進行した。また、単純なアルキルスルホニルクロリドに加えて、不飽和結合を有するスルホニルクロリドや酸素官能基や窒素官能基、ハロゲン基を有する基質も適用可能であり、目的とする環化成績体を高収率で得ることに成功した。基質によって反応条件の軽微な変更を必要とするものの、幅広い基質一般性を有していることが明らかとなった。電気化学的手法を用いたチアゾリン誘導体への酸化反応については溶媒や電解質、反応温度等を種々検討したものの未だ反応効率に改善の余地が残されており、今後さらなる反応条件の精査が必要と考えている。 今後は、生成物のさらなる分子変換の検討に加えて電気化学的酸化反応の反応条件最適化を行うと共に、本反応の不斉反応への展開も検討したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
多様な置換基を有するイソキノリニウムイリドおよびスルホニルクロリドが本反応に適用可能であることを明らかにした。電気化学的手法を用いた環化成績体の酸化反応に関しては、さらなる反応条件の検討が必要ではあるものの、今後の発展的研究を進める上で有用な知見が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
生物活性物質類縁体の合成を目指し、得られた生成物の分子変換を検討する。より環境調和性の高い電気化学的酸化反応の最適化の検討を行う。また、不斉反応への展開に向けた検討も実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:論文投稿へ向けてさらなる追加実験を実施する必要が生じたため。 使用計画:追加実験を実施するために必要な消耗品や器具の購入に充てる。
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