研究課題
ユビキチン(Ub)化は翻訳後修飾の一種であり、その機能はUbの持つ7つのリジン残基のどれに結合していくかに依存する。最も一般的なUb化は48番目のリジン残基で結合するタンパク質分解シグナルだが、その他の特殊なUb化については不明点が多い。特殊なUb化は様々な生命現象や疾患に関与しており、その機能解析が求められる。そこで本研究では、特殊なUb化の解析に有用な手法の開発を志向し、特殊なUb化誘導剤の創製を試みる。過去に有機小分子によるK48型Ub化誘導手法「プロテインノックダウン法」に関する研究を行っており、本研究ではプロテインノックダウン法の理論をK48型からその他の特殊なUb化へ拡張し、特殊なUb化誘導剤の設計、合成、活性評価を行う。ユビキチンリガーゼcIAP1はRIPKタンパク質に対し特殊なUb化を行うことが知られている。そこで本年度はcIAP1とRIPKのそれぞれの特異的なリガンドを連結させた小分子を設計し、この連結小分子によってRIPKの特殊なUb化を促進させることを目指した。設計した連結小分子は、RIPKリガンド、リンカー、cIAP1リガンドに分けて合成したのち、それぞれのカップリングにより合成した。RIPKリガンドはバルトリインドール合成、フィルスマイヤー反応、ヒダントインとの縮合、還元を経て合成した。さらにエチレングリコール誘導体とカップリングしたのち、市販のベスタチンと縮合させることで合成を完了した。現在は活性評価系の条件検討に取り組んでいる。
3: やや遅れている
年度途中の9月に現所属へ異動した。現所属研究室は2019年4月に立ち上ったばかりであり、実験設備が整っていなかったため、2020年1月まで実験を行うことができなかった。
RIPKの特殊なユビキチン化誘導剤の活性評価の検討を終え、POCを示す。さらに、他のE3による特殊なユビキチン化が可能か精査する。
年度途中9月に現所属へ異動した。現所属研究室は2019年4月に立ち上ったばかりであり、実験設備が整っていなかったため、2020年1月まで実験を行うことができなかった。次年度は、本年度に合成した化合物の活性評価系構築のために研究費を使用する。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 1件)
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