研究課題/領域番号 |
19K16327
|
研究機関 | 京都薬科大学 |
研究代表者 |
浜田 翔平 京都薬科大学, 薬学部, 助教 (00833170)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | ニトロキシルラジカル / 酸化触媒 / 第二級水酸基 / 化学選択的性 / Electronic Tuning / 脱保護 / p-メトキシベンジルエーテル |
研究実績の概要 |
TEMPO 等のニトロキシル型酸化触媒は実用的なアルコールの酸化触媒としてよく知られている。一般的なニトロキシル型酸化触媒は基質の立体的環境を識別し、第二級水酸基存在下、第一級水酸基を選択的に酸化する。本研究は基質の電子的環境を識別するニトロキシル型触媒により、第一級水酸基存在下での第二級水酸基選択的酸化反応を実現しようとするものである。 本年度は、電子求引基であるメチルエステル基を1つ持つニトロキシル型触媒による脂肪族第一級水酸基存在下での第二級水酸基選択的酸化反応を検討し、4-[3-(2-ヒドロキシエチル)フェニル)ブタン-2-オールの第二級水酸基選択的酸化を達成した(収率:76%、化学選択性:97%)。今後は、基質一般性を確認するとともに、本反応を多数の水酸基を持つポリオールの化学選択的反応へと展開する。 また、本研究中に、メチルエステル基を2つ持つニトロキシル型触媒が、p-メトキシベンジルエーテルの酸化的な脱保護反応、およびカルボニル化合物への1工程での酸化反応に有用であることを明らかとした。これらの反応は幅広い基質に適用可能であった。また、重水素同位体効果や Hammett plot による反応機構解析を行い、本酸化的脱保護反応のメカニズムが律速段階でのヒドリドシフトを含むことも明らかとした。p-メトキシベンジル基は水酸基の保護基として繁用されており、その新しい脱保護法としての利用が期待される。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度計画していた第二級水酸基選択的酸化反応を達成したが基質一般性の確認には至っていない。一方で、計画していなかったp-メトキシベンジルエーテルの酸化的脱保護及びカルボニル化合物への1工程での酸化反応を達成できた。以上を総合すると、おおむね順調に進展していると考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
第二級水酸基選択的酸化反応の基質一般性を確認する。また、本反応の化学選択性を高めるべく、触媒構造のチューニングにも取り組む。さらに、ガラクトピラノシド等の糖類の第二級アキシアル水酸基選択的酸化反応へと展開する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
ほぼ計画通り執行できたが、わずかな使用額(9円)が生じた。次年度もこの使用額を含め、 計画通り執行する予定である。
|