研究課題/領域番号 |
19K16336
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
福田 達也 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学域), 助教 (90805160)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | リポソーム / 脂質膜間移行法 / 白血球 / 血液脳関門 / 脳血管内皮細胞 / 脳梗塞 |
研究実績の概要 |
これまでに、脳梗塞時に生じる血液脳関門(BBB)の間隙を利用した、ナノ粒子による脳梗塞治療の有用性を報告してきた。しかし、ナノ粒子のBBB間隙突破と脳実質への集積は、虚血/再灌流後一定時間に限られるという時間的制限が存在するため、BBBを能動的に突破し、薬物送達効率を向上可能な技術が求められる。本研究では、白血球が脳梗塞部位のBBBへ接着後、患部へ浸潤する現象に着目し、白血球のようにBBBへ接着し、脳実質へ透過する白血球模倣ナノ粒子の開発を目的とする。 本年度は、ヒト前骨髄性白血病細胞HL-60細胞を白血球モデルとして白血球模倣リポソーム(Leukocyte-mimetic liposome: LM-Lipo)を構築し、ヒト脳血管内皮細胞株hCMEC/D3細胞をin vitro BBBモデルとして用い、LM-Lipoの機能性を評価した。LM-Lipoの構築は、細胞膜タンパク質のリポソーム膜への簡便な再構成法として報告されている脂質膜間移行現象により、HL-60上の白血球膜タンパク質をリポソーム膜上へ移行させることで行った。hCMEC/D3細胞に対して炎症性サイトカインである腫瘍壊死因子(TNF-α)を添加し、炎症時に高発現するICAM-1の発現が顕著に上昇することをWestern blottingにて確認した。TNF-α処理したhCMEC/D3細胞に対して、蛍光標識を施したLM-Lipoを添加し、3時間後の細胞内取り込みを共焦点顕微鏡にて観察したところ、LM-Lipo添加群では通常のリポソームと比較して高い蛍光が観察された。また、細胞を界面活性剤にて溶解しリポソームの蛍光を定量したところ、LM-Lipo添加群において有意に高い蛍光値が認められ、LM-Lipoが炎症性BBBに対して高い親和性・細胞内移行性を示すことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では、LM-Lipoを構築し、in vitro BBBモデルを用いた脳血管透過の検証まで実施する予定であったが、hCMEC/D3細胞を用いたLM-Lipoの親和性評価までしか進められなかったからである。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に、LM-Lipoが炎症処理hCMEC/D3細胞に対して高い親和性を示すという結果が得られたため、トランズウェルプレートを用いてhCMEC/D3細胞層を形成させ、LM-Lipoの脳血管透過性を評価することで、BBB突破能を有するかどうか、検討を行う。in vitroにおける検討を終え次第、ラット脳梗塞モデルを用いたin vivoの検討を実施したいと考えている。
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