精神・神経疾患の多くは早期の診断と適切な治療の開始により症状の大幅な軽減が可能であるため、早期および客観的診断を可能とする指標の発見は人々のQOL向上につながる。統合失調症などの病態へのD-アミノ酸酸化酵素(DAO)の関与が報告され、その活性変化を反映し得る指標として代謝関連D-アミノ酸が注目を集めているが、分析法の欠如により研究が停滞していた。本研究の遂行により、種々の代謝関連アミノ酸のキラル識別分析が達成され、生体内におけるD体の存在が明らかとなった。また、一部のD-アミノ酸についてはDAOの活性変化に伴う有意な変化が認められ、今後疾患の診断指標としての利用に向けた更なる研究が期待される。
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