研究実績の概要 |
ミクログリアの活性が評価可能なマウス大脳皮質スライス培養系の構築 用いるマウスの日齢、培養条件、血清条件、スライス培養の厚さ、温度条件等を考慮し、詳細な条件検討を実施した結果、その90%以上が形態的に成熟したミクログリアとして存在する大脳皮質スライス培養が可能となり、論文にまとめ報告した (Hoshi et al., 2019, JTS)。本方法で作成したスライス培養中のミクログリアは、炎症リガンドであるLPSに応答し、アメボイド型に形態が変化すること、および、炎症性サイトカイン類の産生が増加することを確認した。いずれも、従来の方法で作成したスライス培養より顕著でり、7週齢のマウスの脳内のミクログリアと同等の挙動であったことから、当初の目標通り、ミクログリアの活性が評価可能なマウス大脳皮質スライス培養が確立できた。
メチル水銀による神経傷害へのミクログリア活性化の関与 CSF1RのshRNAを発現するレンチウイルスによるミクログリアの抑制は、力価が高いウイルス作成に至らず、現在も検討中である。そこで、ミクログリア阻害剤であるミノサイクリンや、ミクログリアの貪食作用を利用したミクログリア除去剤であるクロドロン酸内包リポソームを用いることで、メチル水銀による神経障害へのミクログリア活性化の関与を検討した。その結果、メチル水銀による神経細胞の減少は、ミノサイクリンまたはクロドロン酸内包リポソーム処理により一部抑制されたことから、ミクログリアはメチル水銀による神経障害に寄与することが確かめられた。本成果の一部を論文としてまとめ、報告した (Hoshi et a., 2019, FTS)。
|