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2020 年度 実施状況報告書

発生過程における銅代謝機序の解明と銅栄養状態が脳組織に及ぼす後天的影響の評価

研究課題

研究課題/領域番号 19K16346
研究機関千葉大学

研究代表者

田中 佑樹  千葉大学, 大学院薬学研究院, 助教 (50824041)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード銅代謝 / 新生児 / 化学形態別分析 / メタロチオネイン / 酸化ストレス
研究実績の概要

培養細胞(HepG2; ヒト肝癌由来細胞株)を用いて、酸化ストレスに対する銅(Cu)及び亜鉛(Zn)の細胞内分布の変動を検討した。HepG2細胞にCuを曝露し、新生仔期のラットと同様にメタロチオネイン(MT)にCuが過剰に結合した状態を再現した。その後、細胞に過酸化水素を曝露すると、曝露濃度依存的にMTからのCu、Znの脱離が観察された。また、Cuにくらべて、Znの方が、脱離の程度が大きかった。この点はラット新生仔の肝臓中で生後2週の間にZn、Cuの順で含有量が低下する現象と調和的であった。また、過酸化水素への曝露時間を1、2、3時間と変化させても、脱離の程度に差が見られなかった。したがって、活性酸素の発生に対して、MTのsulfhydryl基が速やかに酸化され、Cu、Znの脱離が生じることが示唆された。一方で、過酸化水素への曝露時間を24時間まで延ばしてもCu/Zn含有のスーパーオキシドディスムターゼ1(SOD1)の量は増加しなかった。細胞を通常の大気圧下(O2:~20%)と低酸下(O2:~3%)に置いて培養したところ酸素濃度の低い条件の方が、MTからのCu、Znの脱離が顕著であり、SOD1の量には差が見られなかった。MTからのCu、Znの脱離が予想に反して低酸素で多くなったのは、低酸素後に大気圧下に戻した際に爆発的にROSが発生する再酸素化の影響によると考えられる。以上のように、新生仔期に過剰に存在するCu-MTが減少する減少は活性酸素による受動的な影響である可能性が示唆された。一方、MTからSOD1へのCuの再分配については培養細胞系では再現に至らなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

上記のように、培養細胞系での実験でMTからの銅、亜鉛の脱離が生じることを確かめ、初年度に観察したin vivoでの結果を裏付けるデータ得ることができた。

今後の研究の推進方策

次年度は低酸素条件での培養からの回復過程を観察し、脱離したCu、Znが細胞内で再分配されるかを検討する。また、培養細胞系で酸化ストレスに対する銅代謝遺伝子のmRNA発現量を評価する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Quantitative elemental analysis of a single cell using inductively coupled plasma-mass spectrometry in fast time-resolved analysis mode2020

    • 著者名/発表者名
      Yu-ki Tanaka, Risako Iida, Shohei Takada, Tetsuo Kubota, Michiko Yamanaka, Naoki Sugiyama, Yolande Abdelnour and Yasumitsu Ogra
    • 雑誌名

      ChemBioChem

      巻: 21 ページ: 3266-3272

    • DOI

      10.1002/cbic.202000358

    • 査読あり / 国際共著

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公開日: 2021-12-27  

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