胎仔期から新生仔期の動物の肝臓には成体に比べて銅が過剰蓄積していることが知られている。本研究では、ラット新生仔において肝臓中の銅濃度が生後2週から5週にかけて1/10程度に減少することを明らかにした。また化学形態別分析により成長とともに肝臓の銅メタロチオネインが減少する一方で、血清中の銅セルロプラスミンが増加することも明らかになった。肝臓における銅シャペロンAtox1の発現量が新生仔期に低いことが、肝臓からの銅排泄を抑制している可能性が示唆された。抗酸化タンパク質であるAtox1を含め、銅関連タンパク質の発現量は胎児期の低酸素環境下において成体と大きく異なる可能性が考えられる。
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