化学物質の齧歯動物を用いた発がん性試験において、核内受容体CARの活性化に伴う肝発がんが認められる。これはヒトでは起こらないとされているが、その分子機序が明確ではないため、CARの活性化が実際にヒトにおいて肝がんを引き起こすか否かは明らかではない。化学物質による発がん性は、医薬品や農薬等、新規化学物質の開発中止の原因になりうる重要な情報であるにも関わらず、このようなヒト外挿性の曖昧さは安全性の観点から問題である。齧歯動物におけるCAR依存的肝発がんの分子機序、種差の原因を明らかにした本研究成果は、化学物質の安全性を考慮する上で非常に有益な情報となる。
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