研究課題
申請者は、これまでにTMEPAIファミリーがYAPの活性を抑制する結果を得ていおり、その抑制メカニズムはTMEPAIファミリーによるYAPユビキチン化による分解であると示唆する結果を得ていたため、詳細なメカニズムを明らかにするために検討した。YAPへの作用はC18ORF1の方がTMEPAIよりも強いと考えられたことから、C18ORF1を用いて検討した。まず、C18ORF1はユビキチンリガーゼ活性を持たないことからC18ORF1と協調して働くユビキチンリガーゼを探索した。その結果、候補分子を検討したが、C18ORF1と協調して働くユビキチンリガーゼを明らかにできなかった。そこで、C18ORF1に結合する分子を網羅的に探索するためにプロテインアレイを行い、候補分子が得られたため、これら分子について今後検討を行う。また、C18ORF1によって悪性中皮腫細胞の増殖能や腫瘍形成能を抑制できるかを検討するため、ルシフェラーゼ遺伝子を導入したC18ORF1高発現悪性中皮腫細胞を用いて細胞増殖・軟寒天培地コロニー形成アッセイを行った結果、C18ORF1によって細胞増殖・コロニー形成能が抑制されたことから、これら細胞をヌードマウスの胸腔に移植し、腫瘍形成能を検討したが、明らかな差は認められなかった。さらに、CRISPR/Cas9により悪性中皮腫細胞の内在性のC18ORF1を欠損させた細胞を樹立し細胞増殖能やコロニー形成能を検討したが、細胞増殖やコロニー形成能が促進されるという結果は得られなかった。これまでの結果から、C18ORF1によるYAPリン酸化促進・タンパク質分解など、C18ORF1によるYAP活性抑制作用を示唆する結果が得られたがYAP活性抑制メカニズムは明らかにできなかった。しかしながら、C18ORF1と協調する分子を見出せればYAP活性抑制メカニズムを明らかにできると考えている。
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BBA advances
巻: 1 ページ: -
10.1016/j.bbadva.2021.100008