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2019 年度 実施状況報告書

金属イオン依存的に凝集するモデルペプチドを用いたAβの毒性発現機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 19K16362
研究機関摂南大学

研究代表者

谷口 将済  摂南大学, 薬学部, 助教 (50710696)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードアルツハイマー病 / アミロイド-β / 銅イオン
研究実績の概要

2019年度は、Aβ1-29が結合する金属イオンにより性質の異なる凝集体を形成するかを明らかにすることを目的として、種々の検討を行った。Aβ1-29に含まれる3つのヒスチジン残基(6His, 13His, および14His)をそれぞれアラニン残基に置換した改変体ペプチドを合成し、金属イオンとの結合能の比較(HPLC分析)、金属結合によるペプチドの二次構造変化の検討(CDスペクトル分析)、およびヒト神経芽腫由来SH-SY5Y細胞に対するアポトーシス誘導能の検討(ウエスタンブロッティング)を行った。
その結果、銅結合ペプチド、亜鉛結合ペプチドに関わらず、SH-SY5Y細胞に対してアポトーシスを誘導したのは、緩やかに凝集を示す凝集体であり、一定のCDスペクトルパターンを示していた。また、ヒスチジンをアラニンに改変することで、金属が結合したペプチドの性質が異なることを見出した。さらに、亜鉛イオンと予めインキュベートすることにより生じたAβ1-29の凝集体は、銅イオンと共にSH-SY5Y細胞に添加してもアポトーシス誘導を示さなかったことから、Aβ1-29自体が毒性を示すのではなく、金属イオンと結合して生じた凝集体が毒性を示していることがわかった。
以上の結果から、Aβ1-29は結合する金属イオンの種類あるいはヒスチジンに対する結合様式の違いにより性質の異なる凝集体を形成することが示され、これが毒性の強いオリゴマーと毒性の低いアミロイド繊維を区別する要素である可能性が示された。今後は、この仮説の実証を目的として、更に詳細な検討を行う。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画通り、Aβ1-29と金属イオンとの結合による凝集体形成に関して種々の検討を行い、新たな知見を得ることができた。Aβ1-29の配列中に含まれる3つのヒスチジン残基の重要性と金属結合が凝集体形成に及ぼす影響を詳細に解析することができた。本実験計画により明らかになった細胞毒性を示すペプチドの凝集体は、これまでに毒性が強いとされてきたAβの凝集体、いわゆるToxic oligomerを良く再現していることが考えられた。本研究計画による成果は現在学術論文投稿中である。

今後の研究の推進方策

今後は、金属結合により生じたAβ1-29凝集体が、実際にオリゴマーを形成しているか否かに焦点を当て、解析を進める。
ELISAによるオリゴマー定量、および電子顕微鏡による観察を行うことで金属イオンによるオリゴマー形成への影響を評価したいと考えている。
また、様々な金属イオンの比率を変化させてこれまでと同様の検討を行うことで、脳内金属イオンの比率の変化がAβ1-29の凝集体形成と毒性発現に与える影響を検討する予定である。

次年度使用額が生じた理由

当初計画では、本年度、抗体の購入費用として計画していたが、試供品等での条件検討が可能であったため、大幅に抗体購入費用を削減することができた。次年度に繰り越した金額は、消耗品費に充てる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Aβ1-29 の神経細胞毒性に対する金属イオンの影響.2019

    • 著者名/発表者名
      谷口 将済 , 惣馬 一貴 , 川戸 満里菜 , 田中 浩貴 , 久家 貴寿 , 山岸 伸行
    • 学会等名
      第30回 日本微量元素学会学術集会
  • [学会発表] Effect of Copper and Zinc on the aggregation and cytotoxicity of the Aβ-derived fragment peptide2019

    • 著者名/発表者名
      Masanari Taniguchi, Kazuki Souma, Marina Kawato, Hiroki Tanaka, Takahisa Kuga, Nobuyuki Yamagishi
    • 学会等名
      The 6th Meeting of International Society for Zinc Biology
    • 国際学会

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公開日: 2021-01-27  

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