研究実績の概要 |
DMTMMと液体クロマトグラフィー・タンデム質量分析計(LC-MS/MS)を用いたNovichok Aシリーズ分解物およびアルキルメチルホスホン酸(RMPA、従来の神経剤加水分解物)の分析法の開発およびそれに伴う新規神経剤Novichok類の加水分解物の合成法を確立した。Novichok Aシリーズ分解物のDMT活性化エステルは安定しており、LC-MS/MSで容易に検出できることがわかった。この誘導体化反応を利用して、尿中のNovichok加水分解物(0.40~4.0 ng/mL)の初の分析法を実現した。RMPAの検出限界(0.1~0.4 ng/mL)は、ペンタフルオロベンジル化や直接LC-MS/MSを用いた過去の報告と同程度であった。特に、生体試料中のNovichok Aシリーズ分解物の高感度かつ実用的な分析は、2021年以前に報告された他の方法では極めて困難だった。本法は、市販の安価な試薬、汎用の逆相カラム、一般的なLC-MS装置を用いて実施することができ、リソースの限られた多くの研究室で容易に実施することができる。 本成果は米国化学会Analytical Chemistry誌に報告した(Anal. Chem. 2022, 94, 11, 4658-4665)。
|