メチル水銀(MeHg)への感受性はヒトとげっ歯類いずれの脳においても発達時期および部位に特異的であるが、その要因は不明な点が多い。活性イオウ分子(RSS)はMeHgと反応して毒性の低い代謝産物であるビスメチル水銀スルフィドを形成し、解毒に寄与する。本研究では、ラット脳における RSS量とMeHgに対する感受性との関係を評価した。その結果、RSS量の僅少さはMeHgに脆弱な脳領域とよく符合した。MeHg曝露により脳中のRSSが消費される結果と考え併せると、RSSは脳におけるMeHg脆弱性の特異性を規定する要因となることが示唆された。
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