研究課題
本研究は、近年話題となっている免疫チェックポイントに作用する天然由来化合物・伝統医薬品の探索とその有効生の解析を目的とした研究であり、組換えタンパクとしてPD-1とPD-L1分子を作製し、in vitroでの相互作用を阻害するアッセイ系の作製を試みた。組換えタンパクの作製は完了したが、感度よく相互作用を検出する条件を設定することが困難で、系の確立が上手くできなかった。また、PD-L1とT細胞受容体活性化分子を発現する細胞とPD-1分子およびT細胞受容体を発現しT細胞の活性化マーカーであるNFATc1のレポータープラスミドを導入したJurkut細胞を用いて、細胞間でのPD-L1とPD-1分子の相互作用を検出する系を利用して生薬抽出エキスのスクリーニングをおこなった。150種類ほどのエキスを評価したところ、チクセツニンジン抽出エキスに弱い阻害活性が確認された。しかし、臨床でも利用されるPD-1やPD-L1の抗体医薬品と比較するとかなり弱いものであった。また、マウスを用いて加齢によるT細胞集団の変化を調べたところ、加齢とともにPD-1を発現する割合が増え、さらに免疫抑制作用を持つ制御性T細胞の割合も増えることが明らかとなった。免疫チェックポイント分子に対する直接の相互作用阻害効果が得られなかったため、老化したT細胞を除去することで免疫疲弊したT細胞を取り除き、免疫力を回復することに繋がることを期待し、このような活性を持つ天然物のスクリーニングと解析を並行しておこなうこととした。その結果として、生姜に老化細胞を除去する活性を見出し、その成分としてジンゲレノンAと6-ショウガオールの2つの化合物に活性を見出した。
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Cancer Immunology, Immunotherapy
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