研究課題/領域番号 |
19K16409
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
佐藤 聖 浜松医科大学, 医学部附属病院, 薬剤主任 (70833482)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | オキシコドン / マイクロRNA / がん悪液質 |
研究実績の概要 |
浜松医科大学医学部附属病院において、オキシコドン徐放錠を内服しているがん患者を対象とした。がん悪液質の進行度は、Fearonらの国際基準を用い、前悪液質、悪液質および不応性悪液質群に分類した。定常状態におけるオキシコドンおよびノルオキシコドンの血中動態はLC-MS/MS法により測定した。血中のmiRNA-27b、miRNA-130b、miRNA-142、let-7a、miRNA-23bの発現量について、real-time PCR法により評価した。Cel-miR-39により補正を行い、ΔCT値とした。本研究は、浜松医科大学の倫理審査承認を受け実施した。 悪液質群(P=0.045)または不応性悪液質群(P<0.001)では、前悪液質群と比較して、血中オキシコドン濃度が高値を示した。また、血中濃度比(ノルオキシコドン/オキシコドン)が悪液質群および不応性悪液質群で低値を示し、CYP3A活性の低下が示唆された。 不応性悪液質群では、前悪液質群または悪液質群に比べて、miRNA-130b(P=0.003)およびmiRNA-142(P=0.021)のΔCT値が高値を示した。しかしながら、それらmiRNAと血中オキシコドン濃度、血中濃度比(ノルオキシコドン/オキシコドン)に関係性は認められなかった。 オキシコドン徐放錠の内服を新規に開始したがん患者において、let-7aおよびmiRNA-23bの経時的変化を評価したところ、let-7aはオキシコドン導入後に血中発現量が上昇し、その後は比較的早期にベースラインまで減量する傾向が認められている。一方で、miRNA-23bの発現量に変化は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
オピオイドの薬物動態に関係すると考えられるマイクロRNA(miRNA-27b、miRNA-130b、miRNA-142)については、オピオイドの血中動態との関係性の評価を完了することができている。 一方で、オピオイドの臨床効果の予測に有用と考えられるマイクロRNA(let-7a、miRNA-23b)については、オピオイド導入後の経時的な血液検体を入手できる症例が少なく、予定よりやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
令和元年度に開始した臨床試験の患者登録を進めていくとともに、がん悪液質の進行度の評価、オピオイドの臨床効果の判定、血中マイクロRNAの定量を継続する。解析対象とするマイクロRNAについては、新規にmiRNA-103a、miRNA-146a、miRNA-181、miRNA-339を追加することを計画している。また、現在はオキシコドンを新規に導入した患者を中心に患者登録を進めているが、フェンタニルおよびトラマドールを使用している患者についても評価することで、3種類のオピオイドのそれぞれの特徴についても明らかにしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
マイクロRNAの定量法の確立が比較的順調に進んだため、予想していたよりも購入費用が抑えられた。令和4年度について、新規に解析対象とするマイクロRNAを計画しているため、引き続きマイクロRNAの定量を行うための消耗品にあてるとともに、令和4年度から開始するオピオイド受容体の遺伝子解析に必要な消耗品にあてる。
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