本研究の目的は、中性域を含む広範囲のpHの水溶液に溶解し、親化合物の構造に影響されずに代謝活性化される「水溶性プロドラッグ修飾基」を開発することである。最終年度である2021年度は、前年度合成したポリエチレングリコール型のプロドラッグの代謝活性化能を高めるために、親化合物と水溶性修飾基の間に電子求引性のリンカーを導入したインドメタシンプロドラッグモデルの合成および評価を行った。合成した化合物の水溶性は高まったものの、代謝活性化能はほとんど改善されなかった。そこで、ポリエチレングリコール以外の水溶性原子団として、天然から得られる没食子酸、キナ酸に着目し、これらのプロドラッグ体の合成を試みた。まず、没食子酸をベンジル基でヒドロキシ基を保護した後、エステル部位の加水分解しカルボン酸体を得た後、インドメタシンのクロロメチルエステルを反応させることでエステル置換体を得た。このもののベンジル基を脱保護することで目的のプロドラッグモデルを得た。キナ酸についてはベンジル基の導入ができなかったため、メトキシメチル基で保護した後、エステル部位を加水分解することでカルボン酸体を得た。このものにインドメタシンのクロロメチルエステルを反応させ、目的のエステル置換体を得て、メトキシメチル基を脱保護することで目的のプロドラッグモデルを得た。今後は、これらの化合物の水溶性と代謝活性化能の評価を試みる予定である。今年度の研究によって得られた知見は、今後、学会や論文として公表する予定である。
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