当初の研究計画では、4年目となる2022年度はインフルエンザに関してPK・PDモデルの構築及びその評価を行う予定であったが、1年目から継続している流行予測解析手法のためのモデル構築が十分に頑強(ロバスト)ではないため、その検討を優先的に行った。また、新型コロナ流行の影響もあり、病院などでのインフルエンザ治療薬に関する血中濃度データや効果データの収集を行うことが難しくなったため計画を変更した。2022年度は京都府におけるインフルエンザの一年ごとの各インフルエンザ罹患者数集計期間(以下シーズン)のデータを用いてSIRモデルを構築し、頑強なモデル構築を目指した。今年度は、通常のSIRモデルに加えてコンパートメントを増やしたモデルの構築を検討した。母集団解析を行い、シーズン間誤差とシーズン内誤差を含めたモデル構築を検討したが、パラメータが収束性が十分ではんかかった。原因としてパラメータ数が過剰であることが考えられたんので、いくつかのパラメータを固定して残りのパラメータを変動させたモデルの構築や、ピークのずれを是正するための観測期間を追加するようなモデルを構築することで様々な条件でのモデル構築を検討した。これらのモデルを検討することで、限定的なシーズンでは予測性の高いモデル構築ができたが、全体のシーズンを通してシーズン間誤差を反映した妥当性の高いモデル構築は十分ではなかった。これらの原因として、週ごとの報告のみでは十分に情報が足りずパラメータが収束しない可能性が考えら、より詳細なインフルエンザ件数の報告を収集することでより良いモデル構築ができる可能性が示唆された。
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