ベンダムスチン投与患者における皮膚障害の発現因子解明と予防法確立

2019 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 19K16429
• 研究機関: 大阪薬科大学
• 研究代表者: 内田 まやこ 大阪薬科大学, 薬学部, 講師 (70784304)
• 研究期間 (年度): 2019-04-01 – 2022-03-31
• キーワード: ベンダムスチン / 皮膚障害 / 非ホジキンリンパ腫

研究実績の概要

ベンダムスチンは、非ホジキンリンパ腫（NHL）の治療薬として非常に重要な役割を果たす。薬剤関連の皮膚毒性は、R-CHOP療法に比較してベンダムスチン単剤療法またはリツキシマブ（BR）療法と併用した患者で、より高頻度に発現している。診療録から、患者背景と治療前の臨床的な特徴を後ろ向きに調査し、ベンダムスチン単剤またはBR療法で治療した非ホジキンリンパ腫（NHL）患者の化学療法開始前の皮膚障害の予測因子を特定した。
2011年4月1日から2018年3月31日までに神戸市立医療センター中央市民病院血液内科でベンダムスチン単剤またはBR療法を受けた、20歳以上のNHL患者を対象とした。
解析対象となったのは、95名の初発または再発・難治性の低悪性度NHLの患者である。多変量ロジスティック回帰分析により、過去にがん化学療法歴のない患者が皮膚障害発現に影響する重要なリスク因子であることが抽出された。
ベンダムスチン単剤またはBR療法を受けているNHL患者を対象とした本研究結果は、がん化学療法歴のない患者が皮膚障害のリスク因子であることを示唆した。本研究の限界として、後ろ向き観察研究であること、単施設の調査であること、症例数が少ないこと等が挙げられるが、化学療法開始前の時点でのリスク因子が同定できたことは臨床上の有益な情報源となると考えられる。

現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

情報収集までに時間を要したためやや遅れている。

今後の研究の推進方策

後ろ向き観察研究によって皮膚障害発現のリスク因子を検証した。今後は、リアルワールドデータを用いてベンダムスチンによる皮膚障害の副作用に着目し研究を進めていく。

次年度使用額が生じた理由

今年度はデータ解析するソフトの購入に至らなかったため。

研究成果

• [雑誌論文] Analyses of Respiratory Depression Associated with Opioids in Cancer Patients Based on the Japanese Adverse Drug Event Report Database (2019)
  • 著者名/発表者名: Sugawara Hideki、Uchida Mayako、Suzuki Shinya、Suga Yukio、Uesawa Yoshihiro、Nakagawa Takayuki、Takase Hisamitsu
  • 雑誌名: Biological and Pharmaceutical Bulletin 巻: 42 ページ: 1185～1191
  • DOI: 10.1248/bpb.b19-00105
  • 査読あり
• [雑誌論文] Current Status of Adverse Events Related with Opioid Analgesics in Japan: Assessment Based on Japanese Adverse Drug Event Report Database (2019)
  • 著者名/発表者名: Suga Yukio、Uchida Mayako、Suzuki Shinya、Sugawara Hideki、Torigoe Kazuhiro、Futamura Akihiko、Uesawa Yoshihiro、Nakagawa Takayuki、Takase Hisamitsu
  • 雑誌名: Biological and Pharmaceutical Bulletin 巻: 42 ページ: 801～806
  • DOI: 10.1248/bpb.b18-00997
  • 査読あり
• [雑誌論文] Clinical Pharmacology Research for Promoting Individualized Cancer Chemotherapy (2019)
  • 著者名/発表者名: Watanabe Hiroyuki、Uchida Mayako、Masuda Satohiro
  • 雑誌名: YAKUGAKU ZASSHI 巻: 139 ページ: 901～909
  • DOI: 10.1248/yakushi.18-00213-1
  • 査読あり
• [雑誌論文] A Nationwide Survey of Community Pharmacist Contributions to Polypharmacy in Opioid-Using and Non-using Cancer Patients in Japan (2019)
  • 著者名/発表者名: Suzuki Shinya、Uchida Mayako、Suga Yukio、Sugawara Hideki、Kokubun Hideya、Uesawa Yoshihiro、Nakagawa Takayuki、Takase Hisamitsu
  • 雑誌名: Biological and Pharmaceutical Bulletin 巻: 42 ページ: 1164～1171
  • DOI: 10.1248/bpb.b19-00043
  • 査読あり
• [雑誌論文] Evaluation of adverse events focusing on infection associated with infliximab originator and biosimilar using a spontaneous reporting system database (2019)
  • 著者名/発表者名: Niinomi Iku、Hosohata Keiko、Mori Yasuhiro、Yamaguchi Yuki、Wakabayashi Tomohito、Uchida Mayako、Iwanaga Kazunori
  • 雑誌名: Journal of Pharmaceutical Health Care and Sciences 巻: 5 ページ: 1～4
  • DOI: 10.1186/s40780-019-0149-z
  • 査読あり
• [雑誌論文] Evaluation of Acute Kidney Injury Associated With Anticancer Drugs Used in Gastric Cancer in the Japanese Adverse Drug Event Report Database (2019)
  • 著者名/発表者名: Uchida Mayako、Kondo Yuki、Suzuki Shinya、Hosohata Keiko
  • 雑誌名: Annals of Pharmacotherapy 巻: 53 ページ: 1200～1206
  • DOI: 10.1177/1060028019865870
  • 査読あり
• [雑誌論文] A nationwide survey of hospital pharmacist interventions to improve polypharmacy for patients with cancer in palliative care in Japan (2019)
  • 著者名/発表者名: Uchida Mayako、Suzuki Shinya、Sugawara Hideki、Suga Yukio、Kokubun Hideya、Uesawa Yoshihiro、Nakagawa Takayuki、Takase Hisamitsu
  • 雑誌名: Journal of Pharmaceutical Health Care and Sciences 巻: 5 ページ: 1～13
  • DOI: 10.1186/s40780-019-0143-5
  • 査読あり
• [雑誌論文] Evaluation of the Compliance With Antiemetic Guidelines for Prevention of Chemotherapy-Induced Nausea and Vomiting in Patients With Hematologic Malignancy (2019)
  • 著者名/発表者名: Uchida Mayako, Nakamura Tsutomu, Shima Takahiro, Mori Yasuo, Yoshimoto Goichi, Kato Koji, Shimokawa Motostugu, Hosohata Keiko, Miyamoto Toshihiro, Akashi Koichi
  • 雑誌名: Pharmazie 巻: 74 ページ: 250～254
  • DOI: 10.1691/ph.2019.8889.
  • 査読あり
• [雑誌論文] Impact of a Systematic Education Model for Palliative Care in Cancer (2019)
  • 著者名/発表者名: Uchida Mayako, Hada Masao, Yamada Masahiro, Inma Daigo, Ariyoshi Syunji, Aoki Kazuko, Inoue Syoji, Shimazoe Takao, Mitsuiki Kiyoshi, Haraguchi Toru
  • 雑誌名: Pharmazie 巻: 74 ページ: 499～504
  • DOI: 10.1691/ph.2019.9417.
  • 査読あり
• [雑誌論文] Usefulness of Medication Instruction Sheets for Sharing Information on Cancer Chemotherapy Within the Health Care Team (2019)
  • 著者名/発表者名: Uchida Mayako, Nakamura Tsutomu, Watanabe Hiroyuki, Kato Koji, Miyamoto Toshihiro, Akashi Koichi, S Masuda
  • 雑誌名: Pharmazie 巻: 74 ページ: 566～569
  • DOI: 10.1691/ph.2019.9467.
  • 査読あり
• [学会発表] 緩和医療におけるポリファーマシーに対する薬剤師の介入に関する全国実態調査 (2019)
  • 著者名/発表者名: 内田まやこ
  • 学会等名: 第13回 日本緩和医療薬学会年会
• [学会発表] 緩和医療におけるポリファーマシーに対する薬剤師の介入に関する多施設前向き観察研究 (2019)
  • 著者名/発表者名: 内田まやこ
  • 学会等名: 第29回 日本臨床精神神経薬理学会年会
• [学会発表] 緩和医療領域におけるポリファーマシーに対する薬剤師の介入に関する全国実態調査 (2019)
  • 著者名/発表者名: 内田まやこ
  • 学会等名: 第29回 日本医療薬学会年会
• [学会発表] Comparison between antiemetic effects of palonosetron and granisetron treated with R-CHOP (2019)
  • 著者名/発表者名: Uchida M, Nakamura T, Kato K, Miyamoto T, Akashi K.
  • 学会等名: 79th FIP World Congress of Pharmacy and Pharmaceutical Sciences 2019
  • 国際学会
• [学会発表] Multicenter prospective observational study on pharmacist’s contributions for adequate medication at hospitals and community pharmacies with cancer patients in palliatice care (2019)
  • 著者名/発表者名: Uchida M, Suzuki S, Sugawara H, Suga Y, Kokubun H, Uesawa Y, Nakagawa T, Takase H
  • 学会等名: 6th Congress of Asian College of Neuropsychopharmacology
  • 国際学会
• [学会発表] 造血器腫瘍患者におけるCTCAEとMATを用いた化学療法誘発悪心・嘔吐の評価に対する比較検討 (2019)
  • 著者名/発表者名: 内田まやこ, 中村任, 島隆宏, 吉本吾一, 加藤光次, 細畑圭子, 宮本敏浩, 赤司浩一
  • 学会等名: 第8回 日本臨床腫瘍薬学会学術大会2019
• [学会発表] バラクルード錠温湯懸濁時におけるエンテカビル安定性に及ぼす併用薬の影響 (2019)
  • 著者名/発表者名: 花園真緒, 飯田紘生, 北尾昂志, 中島康太郎, 内田まやこ, 岩永一範, 中村任
  • 学会等名: 日本薬学会 第139年会
• [学会発表] 非小細胞肺癌に対するドセタキセル療法に伴う発熱性好中球減少症の発現頻度とリスク因子の評価 (2019)
  • 著者名/発表者名: 細見周平, 池末裕明, 山口裕規, 内田まやこ, 細畑圭子, 中村任, 室井延之, 橋田亨
  • 学会等名: 第8回 薬剤師レジデントフォーラム
• [学会発表] 医薬品副作用情報データベースに基づく急性膵炎の検討 (2019)
  • 著者名/発表者名: 新家郁, 細畑圭子, 若林智仁, 尾山早紀, 稲田文香, 内田まやこ, 森康裕, 山口裕規, 岩永一範
  • 学会等名: 医療薬学フォーラム2019/第27回 クリニカルファーマシーシンポジウム
• [学会発表] がん患者に対する緩和ケアを担う薬剤師育成のための体系的な教育プログラムの構築 (2019)
  • 著者名/発表者名: 内田まやこ, 山田真裕, 葉田昌生, 因間大悟, 有吉俊二, 青木和子, 井上章治, 島添隆雄,満生清士, 原口亨
  • 学会等名: 第13回日本緩和医療薬学会年会
• [学会発表] 非小細胞肺癌を対象としたドセタキセル療法における発熱 性好中球減少症のリスク因子 (2019)
  • 著者名/発表者名: 山口裕規, 内田まやこ, 細見周平, 池末裕明, 細畑圭子, 室井延之, 佐藤悠城, 藤本大智, 富井啓介, 橋田亨, 中村任
  • 学会等名: 第69回 日本薬学会近畿支部大会
• [学会発表] 悪性リンパ腫を対象としたベンダムスチン療法による皮膚障害出現のリスク因子 (2019)
  • 著者名/発表者名: 森康裕, 内田まやこ, 秋葉健太, 池末裕明, 細畑圭子, 室井延之, 下村良充, 石川隆之, 橋田亨, 中村任
  • 学会等名: 第69回 日本薬学会近畿支部大会
• [学会発表] 添付文書の利活用状況ならびに学習ニーズに関する調査 (2019)
  • 著者名/発表者名: 森山真由, 角山香織,中村任, 宮崎誠, 内田まやこ, 永井純也, 中村敏明
  • 学会等名: 日本社会薬学会 第38年会
• [図書] 臨床腫瘍薬学 (2019)
  • 著者名/発表者名: 内田まやこ(分担執筆)
  • 総ページ数: 19
  • 出版者: じほう
• [図書] 2ページで理解する標準薬物治療ファイル (2019)
  • 著者名/発表者名: 内田まやこ(分担執筆)
  • 総ページ数: 4
  • 出版者: 南山堂
• [図書] がん化学療法レジメン管理マニュアル第3版 (2019)
  • 著者名/発表者名: 内田まやこ(分担執筆)
  • 総ページ数: 5
  • 出版者: 医学書院
• [図書] 整理して理解する抗がん薬－薬理・作用機序から理解する抗がん薬の使い方－ (2019)
  • 著者名/発表者名: 内田まやこ(分担執筆)
  • 総ページ数: 13
  • 出版者: じほう