研究実績の概要 |
ベンダムスチンは、非ホジキンリンパ腫、慢性リンパ性白血病、多発性骨髄腫など様々な血液悪性腫瘍の治療に使用されている。しかし、日本ではベンダムスチンに関連する皮膚障害が多いことが知られている。本研究では、ベンダムスチンを使用した患者における皮膚障害の発現傾向ならびにその好発時期について検討した。 独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)の医薬品副作用データベース(Japanese Adverse Drug Event Report database:JADER)を用いて、2004年4月から2021年3月までに報告されたベンダムスチンが被疑薬と思われる皮膚障害と好発時期について解析した。 ベンダムスチンによる全副作用として2,450件が報告されていた。このうち、ベンダムスチンに関連する皮膚障害は170件で、発疹(ROR=1.63)、帯状疱疹(ROR=3.25)、注入に伴う反応(ROR=7.25)についてシグナルが検出された。好発時期の中央値は、それぞれ13日、60日、6日であった。 発疹または注入に伴う反応はベンダムスチン投与後2週間以内に、帯状疱疹はベンダムスチン投与後2カ月頃に発現しやすいことが示唆された。ベンダムスチンは外来で施行されるレジメンのため、医療従事者が日々患者の皮膚状態を観察することは困難である。このため、皮膚障害の発現傾向と好発時期の把握は、早期発見・早期対処するうえで非常に重要である。
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