薬物ナノ粒子の吸入剤化に向けた検討が進められているが、粒子径100 nm以下のナノ粒子の調製が困難、粒子径に起因する体内動態の変化などの課題が挙げられる。また、がん化学療法の主剤形である注射剤を用いた治療は、疾患部位以外に薬物が到達するため全身性副作用の発現が問題となっている。以上の点から、吸入用抗がん剤ナノ粒子を応用した肺がん治療は疾患部位である肺に薬物を直接送達可能であり、少量の薬物投与による効率的な治療、全身性副作用の軽減が期待される。本研究により得られる成果は、吸入用薬物ナノ粒子によるドラックデリバリーシステムの新たな確立に繋がるとともに、患者のQOL向上に大きく貢献可能な研究である。
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