• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2019 年度 実施状況報告書

次世代型融合オミクスに基づくクモ膜トランスポーターの生理的役割の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K16438
研究機関東北大学

研究代表者

臼井 拓也  東北大学, 薬学研究科, 助教 (50835296)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2021-03-31
キーワードトランスポーター / クモ膜 / 血液クモ膜関門 / プロテオミクス / 脳脊髄液
研究実績の概要

脳脊髄液 (CSF) 中の内因性物質の濃度異常は様々な中枢神経系疾患と関連することから、そのCSF中からの排出機構の解明は重要である。本研究では、「CSF中からの内因性物質の排出に寄与するクモ膜トランスポーターの同定」を目的とした。多くのトランスポーターは細胞膜を介して一方向に基質を輸送することが多いため、その細胞膜局在は、クモ膜トランスポーターがCSFへの物質供給に働くかCSFからの排出に働くかを左右する。そこで令和元年度 (初年度) では、クモ膜トランスポーター郡について、発現局在 (CSF側細胞膜, 血液側細胞膜) を網羅的に明らかにすることを目的とした。モデル動物として、遺伝学・解剖学・生理学的にヒトの生物学を反映するブタを選択した。ブタの軟髄膜 (クモ膜を含む) から粗膜画分を調製し、24%、27%、30%のスクロース溶液を用いて3つの膜画分へ分離した。定量的標的プロテオミクス法 (qTAP法) を用いて23種のタンパク質の各画分における絶対発現量を測定した。過去に報告した方法 (Kubo et al., 2015) を基に、MDR1を血液側細胞膜マーカー、OAT1をCSF側細胞膜マーカーとして対象タンパク質の血液側あるいはCSF側細胞膜への局在を推定した。結果、MATE1、BCRP、MRP4、OATP2B1、GLUT1の分布はMDR1 (血液側マーカー) と、OCT2、OAT3、PEPT2、MRP3、xCT、MCT1、MCT4、MCT8の分布はOAT1 (CSF側マーカー) と一致した。OCT2, MATE1の基質となるcreatinineはCSF中から排出されることが知られるが、その経路の90%以上は明らかになっていなかった。本結果から、クモ膜に発現するOCT2 , MATE1がCSF中からのcreatinine排出に寄与することが推察された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初予定していた通りに、主要トランスポーター群のクモ膜における発現局在を決定することができたため。

今後の研究の推進方策

令和元年度では、主要トランスポーター群のブタのクモ膜における発現局在の網羅的解明を実施した。翌年度はヒトのクモ膜 (軟髄膜) において、トランスポーター分子を含む各タンパク質の網羅的発現量を明らかにし、前述の局在情報を基にその生理的役割を理解する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Abundant Expression of OCT2, MATE1, OAT1, OAT3, PEPT2, BCRP, MDR1, and xCT Transporters in Blood-Arachnoid Barrier of Pig and Polarized Localizations at CSF- and Blood-Facing Plasma Membranes.2020

    • 著者名/発表者名
      Uchida Y, Goto R, Takeuchi H, Luczak M, Usui T, Tachikawa M, Terasaki T.
    • 雑誌名

      Drug Metab Dispos.

      巻: 48 ページ: 135-145

    • DOI

      10.1124/dmd.119.089516

    • 査読あり
  • [学会発表] OCT2 protein is expressed in CSF side of the porcine blood-arachnoid barrier, while MATE1 is in blood side: Application of qTAP to transporter localization2019

    • 著者名/発表者名
      Hina Takeuchi, Yasuo Uchida, Ryohei Goto, Magdalena Luczak, Takuya Usui and Tetsuya Terasaki
    • 学会等名
      日本薬物動態学会第34回年会

URL: 

公開日: 2021-01-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi