本課題の目的は抗菌薬投与前もしくは投与後早期に臨床効果に予測・評価可能な因子の探索、およびそれらの因子を組み合わせた臨床効果判定を行うモデルの構築である。 細菌感染が血液中で起こっている菌血症患者の血液検体の宿主および細菌由来のタンパク質、生体代謝物を網羅的に分析し、臨床効果を関連する因子を抽出するとともに、投与された抗菌薬および感染症に関連して投与された薬剤の血中薬物濃度の測定の実施を計画している。 In vitro 系における抗菌薬の効果と関連する因子の網羅的探索臨床で原因菌として頻度高く分離され、耐性化が問題となっている黄色ブドウ球菌および緑膿菌を対象に、感受性が異なる菌種へ抗菌薬の曝露を行い、曝露前後のサンプル中のペプチド、タンパク質、を質量分析装置にて分析し、プロテオミクスの手法にて探索的に解析を行った。感受性株と耐性株において抗菌薬曝露時のタンパク発現量が大きく異なるものが複数確認された。発現が10倍以上であったものとして、Beta-lactamase(AmpC)、Inner membrane protein CreD、Lipoprotein YgdI、Formate dehydrogenase iron-sulfur subunit、Large ribosomal subunit protein uL4、uL15、uL22、uL24が検出された。特にBeta-lactamase(AmpC)は合成量が多く抗菌薬感受性のマーカーにできる可能性がある。
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