研究課題/領域番号 |
19K16446
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
幡生 あすか 大阪大学, 薬学研究科, 助教 (40790895)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 薬学教育 / 行動経済学 / セルフメディケーション |
研究実績の概要 |
薬剤師が行動経済学を学ぶことにより、来局者が取りうる不合理な行動について理解できるようになり、合理的な行動へと是正を促す(ナッジする)技術を習得できる可能性がある。薬剤師がナッジにより来局者の意思決定支援を行えば、来局者は適正な医薬品の選択ができるようになり満足度が上昇すると考えられる。さらに適正な医薬品の選択は、医療の無駄を省くことに繋がり、医療の効率化が図れる可能性がある。本課題では、「薬剤師及び薬学生は、セルフメディケーション支援にあたり、どのように行動経済学を学び、実践していくべきか」を明らかにする事を目的とした。 2020年度の研究実績としては、1) 前年度(2019年度)に実施した「行動経済学の薬学教育への導入に関する検討」について学会発表を行った。またその検討から得られた成果をShort reportとしてまとめ、学術雑誌に投稿した(採択決定)。2) 春・夏学期は、新型コロナウイルス感染症対策の観点から、大学での授業がメディア授業で実施された。そのため、前年度は対面で実施した授業の構成を見直し、オンラインで実施できるよう調整し、実施した。3) 本年度新たな試みとして、授業で実施したグループワークの題材の一部に行動経済学に関連するテーマを取り上げた。本授業はグループワーク部分も含めオンラインで実施した。この新たな試みは教育実践レポートとしてまとめ、紀要に投稿した(採択決定)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、研究計画のうち、(1) セルフメディケーション実施状況の現状調査、(2) セルフメディケーションに関する情報源の選択やセルフメディケーション支援の現状調査、については、本年度行う予定であったが実施できなかった。(3) ナッジの医療分野への応用に関する情報収集は継続して実施しており、本年度はグループワークの題材の一部としてナッジを取り上げる事ができた。(4) 行動経済学の薬学教育への導入については、オンラインで実施できるよう調整し、ほぼ予定通りに実施できた。研究成果は教育実践レポートとしてまとめ紀要へ投稿した(採択決定)。したがって、(1) (2) は実施できず、(3) (4) はおおむね順調に進んでいるという状況を総合して「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
行動経済学の薬学教育への導入については、本年度の試みより、グループワークの題材とすることで理解が深まる可能性があると考えた。今後は、授業方法についてさらに検討すると共に、アンケート調査等により授業の効果(受講者の理解度等)を確認する予定である。さらに本年度まで実施した授業について検討し、それを基にカリキュラムを提案できるようにしたいと考えている。本年度実施できなかった(1) セルフメディケーション実施状況の現状調査、(2) セルフメディケーションに関する情報源の選択やセルフメディケーション支援の現状調査については、医療現場における行動経済学の応用事例に関する調査、及び日本国外の行動経済学の医療応用に関する調査の一部として実施したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた、(1) セルフメディケーション実施状況の現状調査、(2) セルフメディケーションに関する情報源の選択やセルフメディケーション支援の現状調査が実施できなかった。これらは、「今後の研究の推進方策」に記載した通り、医療現場における行動経済学の応用事例に関する調査、及び日本国外の行動経済学の医療応用に関する調査の一部として次年度以降に実施予定である。
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