研究課題/領域番号 |
19K16452
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研究機関 | 帝京平成大学 |
研究代表者 |
清水 芳実 帝京平成大学, 薬学部, 助教 (70633931)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ビフィズス菌 / クローディン / 薬物送達システム / イムノトキシン / トリプルネガティブ乳癌 / 遺伝子治療 / 低酸素環境 / 膜タンパク質 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、難治性の乳癌であるトリプルネガティブ乳癌(TNBC)に対する組換えビフィズス菌による抗腫瘍効果を評価することで、TNBCに対する新たな治療法の提唱を行うことを目指している。 2019年度は、新たに創生した組換えビフィズス菌を用いて以下のことを明らかにした。1)TNBC由来細胞株5種類(ヒト由来4種類、マウス由来1種類)について、組換えビフィズス菌から分泌された抗腫瘍タンパク質が細胞死を誘導するか評価した。すべてのTNBC由来細胞株で、濃度依存的な細胞障害活性が確認された。また、作用濃度としては、数ng/mlと非常に低濃度で作用する細胞株が存在した。2)TNBC同種移植マウスモデルを用いて、ビフィズス菌の分布を蛍光・発光イメージング装置IVIS Lumina XRで観察した。その結果、ビフィズス菌が正常な組織に分布せずに、腫瘍特異的に集積することを定性的及び定量的に明らかにした。3)2)のモデルを用いて、組換えビフィズス菌の抗腫瘍効果を評価したところ、有意な腫瘍増殖抑制効果が確認できた。4)TNBC異種移植マウスモデルで、組換えビフィズス菌の抗腫瘍効果を評価するための検討を行った。培養した細胞を移植したところ、腫瘍増殖が個体間で大きくばらついていた。これは、細胞の不均一性に起因していると考えた。より増殖性が高い細胞群を得ることを目的に、マウスにAdaptationさせたTNBC細胞株を2種類樹立した。樹立した細胞は、親株と同等程度の抗腫瘍タンパク質に対する感受性を有していることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、1種類のTNBC移植マウスモデルにおける抗腫瘍効果を評価できた。また、ここまでの研究成果をまとめて、学会発表1件と論文投稿をすることが出来たため、本研究課題はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に従って、TNBC異種移植マウスモデルで組換えビフィズス菌による抗腫瘍効果を評価する予定である。合わせて、抗腫瘍タンパク質の作用機構の解析を行うことを計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの感染拡大のため、2020年3月に発表を予定していた学会が中止になったため、次年度使用額が生じた。 今後の使用計画としては、動物実験の物品費に充てる予定である。
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